私の知らないおはなしの世界
サバイディー(こんにちは)!
今日は、今年度出版する絵本・紙芝居の編集中のひとコマをお伝えしたいと思います。
ラオスでの絵本・紙芝居出版活動は、まず、事業地ヴィエンカム郡の村に伝わる民話を聞き取ることから始めます。そして集めた民話の中からどの話を出版するかを選んで、編集していきます。
先日、ヴィエンカム郡で聞き取ったお話が、ルアンパバーン市内の寺院に描かれていると聞き、探して見に行ってきました。
(ラオスの寺院では、よくお堂の外壁や内壁に仏教説話や民話が描かれています。)
ところどころ内容が違っていました。
どれも口承で伝わってきた話なので、その話が伝わり広まっていく過程で少しずつ話が変わっていくことは自然と起こるようです。
例えば、「『ももたろう』って知ってる?」と聞いても、よくよく話を聞いてみると地域によっては、登場人物がキジや犬ではなく違う動物になっていたり、とあるシーンが加えられていたりする感じで、本のタイトルは一緒でも地域によって中身が少し異なるのです。
寺院で、お坊さんや尼さんに、この絵のもとになった話集はありますか、と尋ねても
「残念ながら、ないですね。」
「壁画について知っている人はここにいないんですよ。」との返答。
寺院の壁に描くくらいだから市内では有名な話なのか?と思い、一般の人にも「○○○というお話を知っていますか」と聞いてみると、
「いやー、知らないなー。」
「タイトルは聞いたことがある気がするけれど、どんな話かは知らないな。」という声多し・・・。
私たちが収集した民話の中には、ラオス国内で出版を管轄する情報文化観光局も知らない民話もあり、どれが「ホンモノの話」なのかは、もはや私にはわかりません。
どれもその地に根付いた「ホンモノの話」なのです。
私の知らないラオスの民話の広がり。面白いです。でもこれを紐解いていくのはなかなか難しいです。
さらに、色んな人に話を聞いていると、「最近は子どもに昔話をしていないな」という声を聞き、大人が子どもに伝えていかなければ、その地に根付いた民話も自然に消え行く可能性があるのだな、と感じました。戦争や圧力でなどで失われるのではなく自然消滅するのはとても悲しいことです。私たちが民話を出版する意義というのも改めて考えることができました。
子どもたちにより良い絵本・紙芝居を届けるために、様々なことにぶつかりながら、引き続き頑張って参ります!
「ラオスの山奥に住む子どもたちに、絵本から広がる世界を伝えたい」
ラオス事務所 山室仁子