2022.07.02

今年も来年も子どもたちの教育を支えられるように

スタッフの声
ミャンマー

皆さん、こんにちは。ミャンマー・ピー事務所のハニーです。本日は混乱が続くミャンマーで、何に困っているのか、どのように活動を継続しているのかをご紹介します。

生活を苦しめるいくつもの困難

セキュリティーブロック
(写真:町に設置されたセキュリティーブロック)
ミャンマーでは新型コロナウイルスの感染拡大と軍事クーデターの影響を受け、人々の暮らしは日に日に苦しさを増しています。お米や食料油、豆といった主食となる食料の価格が高騰し、ガソリンの価格も2020年と比較して2倍に上昇しました。このような状況では、今までと同じ給与で家族を養っていくことができません。
さらに、移動の制限も厳しくなり、街の入り口に設置されている検問所で移動目的を確認されます。国民カードや新型コロナウイルスのワクチン接種証明書を提示させられることもあります。
銀行からの現金の引き出しにも規制がかかったり、銀行の方針が頻繁に変更されています。中央銀行は外貨の強制両替を発令したり、外国から収入を得ている会社へ新たな規制を設けたりしています。
新型コロナウイルスの感染拡大は2022年5月以降、落ち着いています。新型コロナウイルスによる行動規制は解除され、集会も可能となりました。保健省は中国製やインド製のワクチン接種を促しています。子ども(5歳~17歳)へのワクチン接種も全国で進められています。
子どもへのワクチン接種
(写真:子どもへのワクチン接種が進められている)
経済が低迷していることもあり、以前よりも強盗が増加しています。外資系企業はミャンマーから撤退したり、事業を中断し、失業率も徐々に増えています。

子どもたちは少しずつ学校へ

教育状況では、2年間の休校措置の後、2022年5月から大学が再開されました。しかし、ほとんどの学生が復学しませんでした。経済的に余裕のある大学生は留学して学習を継続していますが、余裕のない学生は家庭を支えるために大学を辞め、仕事を探し始めています。基礎教育分野では、公立学校は6月より再開し、昨年よりも多くの子どもたちが復学しています。ただし、公立学校を選ばず、経済的に余裕のある家庭は私立学校へ、余裕のない家庭は僧院学校へ子どもたちを通わせる家庭も一定数存在します。また、教員不足や教室不足は依然として課題となっています。
教室で学習する子どもたち
(写真:学校に戻りつつある子どもたち)

苦労がありつつもシャンティは活動を継続

こういった理由から、この6か月間の事業実施や事務所運営は苦労の連続でした。現金引出の制限や頻繁に変わる銀行の方針のために支払が遅れたり、事業を延期せざるを得ない場合もありました。ガソリンや活動に必要な資材の価格も計画時より高騰していますが、これは私たちの努力でどうにかなるものではありません。一方で、上手く進められている点もあります。シャンティでは長年関係者と良好な関係を築いてきたことから、活動を実施するにあたっての群教育局との調整は順調に進みました。また、群教育局の担当者もシャンティの活動が円滑に進むよう協力的な姿勢を見せてくれています。

今年度予定している学校校舎や学校図書館の建設活動は、建設業者との契約や対象校、教育局との覚書締結が終わり、建設工事に取り掛かっています。建設現場の定期モニタリングもエンジニアを中心にシャンティのスタッフによるモニタリングが実施できています。その一方で、シャンティのスタッフが直接実施できていないこともあります。日本の皆様にもご協力いただいている「絵本を届ける運動」の絵本を、過去に支援した学校や図書館にへ配布し始めていますが、シャンティのスタッフが直接配布しに行くことが難しく、代わりに県教育局に依頼し、各学校や図書館へ配布してもらっています。子どもたちが新しい絵本を手に取り、少しでも楽しい時間を過ごしてくれることを願うばかりです。
覚書締結

来年も子どもたちの教育を支えられるように

これらの活動以外にも、来年の事業を形成するために調査や予算の算出を始めています。慣れない仕事に難しさを感じることもありますが、経験を積む良い機会だと思って前向きに取り組んでいます。頻繁に事業地に行くことはできませんが、チームメンバーの協力もあり、事業の全容がつかめてきたところです。この先も様々な困難が待ち受けていると思いますが、子どもたちがより良い教育や生活を送れるように、ミャンマー事務所一丸となって事業を進めていきます。

ミャンマー事務所 ハニー