2015.05.28
海外での活動

1年間のライフスキル教育で学んだこと

ミャンマー

ミンガラーバー!ミャンマー事務所の長沢です。
ミャンマーは雨季に突入し、聞いてはいましたが日々大量のコオロギが発生。朝起きて一番最初にやることは、夜中に部屋に入ってきたコオロギの死骸を掃除することです。爽やかな朝が訪れる日はまだまだ先です。

先日、学校に行っていない子どもたちのためのライフスキル教育(通称EXCEL)を受講した生徒と先生へインタビューに行ってまいりました。このEXCELは10歳~17歳の学校に行っていない青少年を対象にした、コミュニケーション・対人関係、保健衛生などに関するスキルを教えるプログラムです。教えているのは地域の20代の若者。授業形態が参加型であることから、研修を通じてグループワークやブレインストーミングなどの手法を学び、授業運営をしています。

今回インタビューした生徒と先生からの声をご紹介します。

●エイミャトゥさん(17歳、家事手伝い)
私は学校に通っていなかったこともあり、このプログラムに参加するまでは色々なことを知らなかったということに気づきました。好きだった授業は「You can say but…(話しても良いけど・・・)」です。この授業を受けるまでは自分のことばかり話し、周りの人の言うことを理解しようとしていなかったことに気がつきました。今はどうやったら相手に自分の気持ちをうまくつたえることができるのか、そして相手の気持ちを理解することの大切さを学びました。また、私は話すときに相手の肩を叩くことがありましたが、授業の中で人によって叩かれるのが嫌いな人もいることを知り、今はもうやらなくなりました。EXCELを通してたくさんのことを学ばせていただき感謝しています。私たちの次の世代の子どもたちもこのプログラムを学ぶ機会を提供いただけたら嬉しく思います。

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3月に訪問した時の授業の様子。グループディスカッションは和気あいあいと良い雰囲気です。

●テットウェイアンさん(23歳、大学3年生心理学専攻、バイク運送手伝い)
授業を開始したばかりの時は、仕事の都合等で授業に来ない生徒への呼びかけがとても大変で、思うように授業ができないこともありました。ただ数週間過ぎた頃から、生徒たちに学ぶ意欲が芽生え、忙しい中でもEXCELに参加したいと思ってくれるようになりました。雨季には川を越えて教えに行かなければならないこともあり、移動するだけでも大変なこともありました。
生徒に見られた変化としては、助けが必要な人を助けようとする姿勢が芽生えたことです。農村部では特に力仕事を手伝うように近所から言わることが多い中、今までやりたくないからと言って断っていた子たちが、積極的に手伝うようになりました。
私自身もコミュニケーションが少し苦手で、人に言いづらいことがあると黙ってしまったり、反対に感情的に相手を威嚇してしまうという傾向がありました。しかしこのプログラムを教える中で、自分をコントロールすることを学び、感情的になる前に問題を解決するために考えて行動することを学びました。
このプログラムを通じて生徒たちと一緒に多くのことを学び、成長することができました。この村のエクセルプログラムをご支援いただいたことに改めて感謝申し上げます。

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3月に訪問した夜間の授業の様子。先生が問いかけると積極的に答えていました。

日々の生活の中で使えるライフスキル、ただし使わないと身につかないものでもあります。今回インタビューした生徒・先生方は口をそろえて「自分自身に良い変化があった」と言っていました。このプログラムを最初からモニタリングしていたスタッフは、「最初の頃は先生に話しかけてもあまり反応がなくて心配してたけど、今回のインタビューで気持ちを表現している姿を見てとても驚いたし嬉しかった」と感想を述べていました。

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今回インタビューに協力してくれた先生と生徒。
後列一番左がエイミャトゥさん、後列左から3番目がテットウェイアンさん。

テットウェイアンさんは最後に「職業訓練もこのライフスキルと一緒に教えるべきだと思います。この子たちは学校に行っていない分、ちゃんとした仕事に就ける可能性が低いのが現状なんです」とおっしゃっていました。この村をこれから支えていくことになる年代の先生たちが、同じくこれから村を支えていく子どもたちの将来を考えてこういう発言をしてくれたことが個人的にとても嬉しかったです。

ミャンマー事務所 長沢有華