2015.12.10
海外での活動

寺院学校の教員向け研修で唯一の唯一の男性教員にインタビュー

ミャンマー

ミンガラーバー
ミャンマー事務所調整員の長沢です。

12月に入りミャンマーも「冬」に突入しました(毎日半袖にサンダルですが)。涼しくて過ごしやすいを通り越して、朝晩は毛布をかぶらないと眠れないほどです。

少し前ですが、10月29日から11月5日にかけて、ピー県の寺院学校の教員を対象に教員研修を行いました。
PA290044

14の寺院学校の計104人の教員が前半と後半の日程に分かれ、それぞれ4日間研修を受けました。実施主体はカウンターパートのミャンマー識字リソースセンター(MLRC) です。

研修内容は、児童中心型教育、ライフスキル教育、マインドマップの授業への応用法、補助教材を使った授業の教案作成、模擬授業など多岐にわたりました。昨年度も教員研修が行われましたが、今回の研修は前回の研修に比べて教案作成や模擬授業が行われ、より実践的な研修となりました。MLRCの講師たちは、研修の知識や経験が豊富であり、模擬授業への指摘も的確でした。

PA310020
(模擬授業の様子)

image1
(マインドマップを作成する教員)

PA300087
(アイスブレイクにはインターンの山田君も参加しました!)

いくつかの寺院学校では、教員数が十分でない、研修を実践するための時間的・物理的制約があるという課題は残っていますが、今回の研修が少しでも教育実践の改善につながることを願っています。

今回の教員研修で驚いたことは、一人を除くすべての教員が女性だったということです。

2011年の統計ではミャンマーの小学校レベルの実に8割強の教員が女性でした。この背景には、ミャンマーの女性の教育レベルが比較的高いという面もありますが、教員は女性がやるものであるという理解がある、教職は給料が低く男性は就かないというネガティブな面もあります。特に寺院学校の教員給与は公立学校のそれよりも低く、副業をしている教師も多く存在していることから、教職をめぐる労働環境は良いとは言えません。

寺院学校で教員をするには決して恵まれているとは言えないなかで、
なぜ彼は教員の仕事を続けているのでしょうか。

女性教員に囲まれて黙々と研修を受けていたこちらの男性教員にインタビューをしました。

PB050020
(写真右が、唯一の男性教員の参加者)

開口一番、彼は、貧しい子どもたちのために働きたいから寺院学校の教員になったとおっしゃいました。

現在は少し状況が変わってきてはいるものの、ミャンマーの寺院学校は、歴史的に公教育にアクセスできない貧困層や社会的弱者の教育のための、セーフティーネットとしての役割を果たしてきています。そのため寺院学校に来ている子どもたちは家庭環境が恵まれない場合が多いです。

もともと彼は事務の仕事をしていて、給料は今よりも良かったそうです。しかし恵まれない子どもたちの教育に携わりたいという熱意ゆえに、事務の仕事をやめて寺院学校の教員になることを決心したそうです。

「このような研修の機会を設けていただきシャンティに心から感謝します」。最後去り際まで丁寧に対応して下さったこの先生。情熱あふれるその姿がとても印象的でした。

DSC00020
(最終日には皆で記念撮影)

ミャンマー事務所 長沢有華