ミャンマーでのインターン生活を通して感じたこと
ミンガラーバー
ミャンマーピー事務所インターンの黒田です。
昨年の1月下旬にピーに来てから早いもので、あっという間に1年が経ちました。
後任のインターンも来ましたので、僕にとっては今回が最後のブログ更新(ちょうど10回目)です。
最後の締めくくりということで、1年間の現地滞在で感じたことをいくつか紹介させていただきます。
国民全体で支え合う寄付・互助の精神
あまり知られていないかもしれませんが、実はミャンマーは世界で一番寄付をする国です。ただ一口に寄付といってもその方法は多岐に渡り、お金、食べ物、衣服、労役など生活に必要なあらゆるものをお互いに協力して提供しあって暮らしています。
それを表す具体例を1つ挙げてみます。
ミャンマーには公立学校とは別に寺院学校(お寺の中に作られた学校)があります。そして寺院学校の教員の給料は平均するとたったの時給22円です。いくらミャンマーの物価が安いといってもこの給料では生活できません。しかし現実に食べていくことはできています。その理由は親族のみならず社会全体で貧しい人を助ける構造が出来上がっているからです。
また、寺院学校の運営も地域からの支援なくしては成り立ちません。
ミャンマーの少数民族地域では現在も紛争が続いているため学校に通えない子どもや親を亡くした孤児がいますが、当会が支援するバゴー地域の寺院はそういった子どもたちを受け入れ、衣食住と教育を提供しています。
例えば、2017年に支援したタタナパルラ寺院学校には400名を超える子どもが寄宿しており、お米だけでも月に15万円以上の出費になります。その他の出費を合わせると月に数十万円になりますが、それらすべてを寄付で賄っています。ミャンマーの物価が日本の10分の1以下しかないことを考えると、これは本当に莫大な金額です。世界一寄付をするミャンマー人の国民性があって初めて成り立つ仕組みです。
また、ミャンマーには日本のような国民皆保険制度も年金制度もありません(公務員のみ年金制度あり)。そのため一見すると国民が容易に路頭に迷いそうですが、実はそんなことはありません。仏教精神に支えられた寄付の文化によって国民が互いに守り合っているからです。世界中を見渡してもこれほど寄付によって社会全体が支えられている国はなかなか見つからないと思います。
急速に発展するミャンマー経済
上述のように、強力な寄付の文化に支えられているミャンマーは発展途上国の中でもさらに開発が遅れている後発開発途上国に分類されています。(寄付したお金を宗教行事に使ってしまうので経済が発展しないという指摘もあります。)しかし2021年に開発途上国にランクアップする目途が立ちました。つまり経済状況が右肩上がりに改善されてきています。
それを象徴するように、僕が暮らすミャンマーの田舎町ピーにも次々とチェーン店が進出してきました。以前のブログでピーにケンタッキーができたとお伝えしましたが、実は2018年のクリスマスにロッテリアもオープンしています。もちろんそういった外資系企業だけでなく、ミャンマー国内に拠点を置くローカルチェーン店も次々とピーに支店をオープンしていますし、ホテルも毎年のように建設されています。
その一方で、大通りからほんの少し離れるだけで、竹で作られた家ばかり立ち並ぶ光景が見られます。民主主義政権の誕生以来、ミャンマー経済は右肩上がりの成長を続けています。しかし同時に貧富の格差も大きくなっていることは間違いありません。ピーの町を散歩していると、それが本当によく分かります。たった1年の滞在でそう感じるので、5年後にもう一度ピーを訪れたらまったく別の町になっているかもしれません。そのくらいミャンマーの経済発展は驚くべき勢いで進んでいます。
火事場の馬鹿力でなんとかしてしまう
1年間ミャンマーで仕事をさせてもらい、本当に本当によく分かったことがあります。それは、ミャンマーでは何事も予定した通りに進まないということです(笑)訪問予約を取っていたのにいざ尋ねてみると約束した相手がどこかに行ってしまったり、余裕をもってお願いしたはずの書類作成がまったく進んでいなかったり、そんなことがよく起こります。ミャンマー人の価値観や優先順位の付け方が日本人と大きく違うのでそういった事態になってしまうわけですが、驚くのはそのあとです。
ミャンマー人は本当に間に合わせないといけない期限が近づくと急に働きだし、仕事を終わらせてしまいます。
1年間働く中で、何度も間に合わないのではないか?と思ったことがありますが、結果的にすべて間に合いました。そこにはもちろん日本人スタッフのサポートがありますが、期限近くになるといつにも増して働きだすミャンマー人独特の火事場の馬鹿力が大きく関係していると言わざるを得ません。車が故障したり、電気配線が切れたり、そういった不測の事態に遭遇してもありあわせの材料ですぐに応急処置をしてしまうことも多々あります。
着いたばかりの頃はいつも不安でしたが、インターン生活後半になってからはそういったミャンマー人の価値観や働き方に慣れました。きっと後任のインターンも僕と同じように徐々にミャンマー文化に適応していってくれると思います。
最後に
今回、インターンという立場でミャンマーに1年間滞在し、現地の文化を感じながら現地の人々と一緒に働き、ミャンマーに来なければ出会えなかった人々とたくさん出会うことができました。本当に貴重な経験を積ませていただきました。
プライベートを含め、滞在期間中はミャンマー事務所の方々、そして東京事務所の方々に大変お世話になりました。心から感謝申し上げます。
最後に、ここまで読んでくださった読者のみなさんにも感謝申し上げます。
ミャンマーピー事務所インターン 黒田