2021.01.30
海外での活動

ミャンマーで、子どもたちのなりたい職業は?

ミャンマー

ミャンマー事務所の市川です。

 職業かるたで見えた現実

1年前のことです。あと1か月でインターンを終了する倉持さんがヤダナミンズリ寺院でのボランティア活動をするというので同行させてもらいました。この寺院は、孤児院と学校を併設していて、350人の子どもが暮らしています。彼の選んだテーマが、「子どもに職業を、どう伝えるか?」で、20種類の職業の取り札からなる「ミャンマー職業かるた」を作り、試すことになりました。

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当日は、8歳の子どもが集まり、ゲームの後、数人ずつのグループに分かれて、このかるたに挑戦。説明文を読み上げ、子どもたちが取り札をとっていきます。結構、本気になり、中には、真剣になりすぎて涙する場面も。

かるたの後、子どもたちに「なりたい職業は?」を聞くと、「先生、医者、エンジニア、警官、軍人」くらいしか出てきません。ちなみに、日本では、男子のベスト3は「ゲームクリエーター、ユーチューバー、サッカー選手」、女子のベスト3は「芸能人、漫画家・イラストレーター、パティシェ」(ベネッセの「2020年の出来事や将来に関する小学生の意識調査/小学3~6年生を対象」より)。ミャンマーでは、子どもたちが職業について考えるのが限られていることを感じました。

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マッサージ屋のティさんの嘆き

肩こりで月に一度は、マッサージ屋に行きますが、日本に比べて安いのがありがたいです。1時間でも、8,000チャット(約620円)くらい。ヤンゴンで偶然入った店で、ティさんという方に施術してもらったのですが、ピーに実家があり、私のアパートのすぐそばであることがわかり、地元の話で盛り上がりました。ピーの大学を卒業して、マッサージ師となった彼女に、「どうして、ヤンゴンに出てきたの?」と伺ってみました。そうしたら、「ピーだと、仕事があっても給料はせいぜい10万チャット(約7,800円)。ヤンゴンだと20万チャットは稼げるし。でも、仕事は、10:00~22:00まで拘束されて大変。休みも月に2回しかないし。4月にピーに帰省するのが唯一の楽しみ」と語ってくれました。

安くて助かると考えていた私は、頭を殴られたような感覚で、恥ずかしくなりました。大学を卒業しても、職業が限られていることを実感しました。

第2、3のオラタイさんが出てくることを信じて

当会シャンティ35周年の際、タイから来日したオラタイさんの講演会を実施しました。彼女は、バンコクのスラムで育ち、貧しいながらも猛勉強して外交官になった苦労人です。彼女にとって、劣悪な環境の中、当会が運営する図書館に通い、それが、唯一の“心のオアシス”でした。たくさんの本や旅行記を目にするうちに「自分もいつかこのスラムを抜け出して、世界を見てみたい」と大きな夢を抱き、見事に夢をかち取りました。オラタイさん曰く「小さな図書館との出会いがなければいまの私はありませんでした。図書館は、誰でも学びたければ、学ぶ機会を与えてくれます」と語ってくれました。

*オラタイさんのことは、【タイ】オラタイさん~スラムの図書館からタイの外交官にで紹介しています。

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ミャンマーでも、シャンティの図書館活動を通して、自分の世界をひろげ、夢に向かって突き進む、第2第3のオラタイさんが出てくるように、図書館活動に取り組んでいきたいと思います。