2024.12.11
緊急人道支援

ネパール水害緊急救援―「生活を立て直す希望持てた」

ネパール
水害

ナマステ。ネパール事務所の萩原です。

既に報道等でご存じの方も多いかもしれませんが、ネパールでは今年9月末の豪雨に伴い、洪水や土砂崩れなどの水害が発生し、250名以上が亡くなりました。

シャンティが今年8月にコミュニティ図書館・リソースセンターの竣工式を実施したコシ州のダンクタ郡チャター・ジョーパティ自治体でも、131世帯の家屋が土砂崩れで全半壊。学校も被害を受けました。幸い死者は出ず、図書館・リソースセンターへの被害もありませんでした。

インタビューに応じてくださったチャンドラさん一家。左側に見える家屋は全壊。

三人が立っている場所には台所やトイレがありましたが、土砂崩れですべて破壊され、牛小屋や家畜、野菜畑も被害を受けました。右端の息子さんは土砂崩れで斜面から流されてしまったところを家族に発見されました。

この事態を受けシャンティは、家屋全壊など被害が大きかった世帯と学校への支援物資の配布を決定。家屋再建のための屋根用資材や土砂崩れ防止等に活用できる蛇篭(鉄線で編んだ長いかごに砕石を詰め込んだもの)用の鉄かごの配布を12月6日に行いました。

物資配布前の関係者のスピーチ

物資配布は自治体、図書館・リソースセンター運営委員会、パートナー団体のREAD Nepalと共同で実施。自治体の敷地を物資配布場所として活用させていただきました。当日はメディアの取材も入りました。(https://khabarpalikanews.com/2024/12/496/

配布対象者の確認

物資配布に先立ち、まず、「対象者確認デスク」で本人確認。ちなみにこの作業を担当したのはコミュニティ図書館・リソースセンターでライフスキル研修を受講した青年グループの皆さんです。このほかにも会場整備や誘導等の作業を積極的に担ってくださいました。

物資配布の様子。後ろに見えるのは蛇篭用の鉄網と屋根用資材です。

物資配布の一連の手続きと関係者のスピーチが一段落し、まもなく解散というタイミングで、ある青年が突然、マイクの前にやってきました。「マイクの前に立つのは初めてです。とても緊張しています」と言いつつ、青年は言葉を続けます。

「土砂崩れですべてが破壊されました。僕は若い世代ですが出稼ぎのために海外にはいきません。この村で何か良いことをしたいと思っています。けれども土砂崩れで僕の夢は壊されてしまいました。そんな中で今日、僕はこの支援を受けることができました。生活を立て直していく自信が持てました。助けてくれる人がいるとわかりました。支援にとても感謝しています。」

スピーチを行った青年

彼の名前はロック・バハドゥル・タパさん。海外に出稼ぎにいく若者が後を絶たないネパールの農村において、村に残って貢献したいと決意をもった若者は貴重な存在です。

あとで「夢」について聞いてみると、野菜の加工をして市場で売ったり、シャクナゲ園を整備して観光客を呼び込んだりすることで地域に貢献したかったといいます。彼が生活を立て直し、夢を実現するにはまだ時間がかかるかもしれませんが、今回の支援が少しでもその助けになればと願わずにはいられませんでした。

本緊急救援活動は日本の皆様からのご支援で実現しました。

スタッフ一同、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

ネパール事務所 萩原

物資配布後の集合写真

物資配布を受けた一家の皆さん