トルコ地震出張報告①被災世帯への訪問
めるはば。トルコ語でこんにちはという意味だそうです。海外緊急人道支援課の夫津木です。
トルコ南部とシリア北部を襲った大地震から、1年と3か月が経過しました。昨年10月からシャンティは、最も被害が大きかったトルコ南部ハタイ県アンタキア地区で、トルコの団体(YERYÜZÜ ÇOCUKLARI DERNEĞİ (英訳:children of earth)」)と協力して、避難生活で勉強する時間や環境が奪われた子どもの学習を支援する事業を実施しています。
事業の中で、実際に子どもはどんな環境で勉強しているのか。それはまた次回にお届けするとして、今回はトルコに出張で見聞きした被災地の様子をお届けしたいと思います。
アンタキア地区は、元々風光明媚で観光資源も多く、とても賑やかな街だったと言います。
宿泊したホテルが面した通りは、栄光の道と呼ばれていたようで、「世界で一番早く明りが灯された道なんだよ」とホテルのスタッフが誇らしげに伝えてくれました。
トルコ政府が不断にがれきの撤去を進めていますが、最も被害が大きかった地帯で未だにがらんとした建物と更地が並びます。
しかし人びとが生活する姿には熱気と活気がひしひしと感じられます。瓦礫を見て自分が凹んでいる場合ではないと強く思わされます。
被災地では避難所の集合住宅で暮らす家庭もいれば、損壊を免れた家で生活を続けている家庭もあります。ケースバイケースですが、自宅で暮らす家庭の方が、学校から遠かったり、教育サービスに関わっていない場合があります。
そんな家庭をリストアップして、子どもの教育リスク、特に学校からのドロップアウトの懸念を調査し未然に防止する策を講じることができるよう、ファーティマさんが家庭を個別に訪問しています。
訪問先の一つの家庭がある地区です。美しい丘ですが、地震が残した傷痕が散見されます。
家庭訪問に同席させてもらいましたが、真剣にかつ柔和に、保護者の方から話を聞くファーティマさんの佇まいが記憶に焼き付いています。
実はファーティマさん。アンタキア地区の出身で、自分も地震で被災しました。同じ境遇にある人の何か役に立てることはないかと、この事業に参加されました。
地震が壊したもの、それが引き起こす虚無感や喪失感が癒えるには、1年という時間は短すぎるように思います。その中でなかなか次に進む選択をしない方に対して、ファーティマさんは寄り添って話します。彼女の発する「大丈夫」は、特別な意味を持つように思います。
本事業はみなさまからのご寄付と、ジャパンプラットフォームの助成を受けて実施しています。
海外緊急人道支援課 夫津木