2024.09.26
緊急人道支援

トルコ教育支援事業が終了しました

活動風景
震災

2023年2月6日、トルコ南東部を震源とした大地震が発生しました。地震直後に建物が倒壊し、また火災の発生・交通網の断絶したことにより、トルコで5万人以上が死亡、10.7万人以上が負傷する大惨事となりました。

シャンティは復旧・復興段階を迎えた2023年6月、職員を被災地域に派遣して、被害や被災生活の状況を調査しました。特に被害が大きかったハタイ県アンタキア地区では、キャンプやコンテナが立ち並ぶ避難区域に居住し、何カ月も学校に通えない子どもが多くいる状況を憂慮いたしました。そこで外務省(ジャパン・プラットフォーム)の資金と、皆さまのご寄付を活用する形で、被災した子どもの教育機会を改善するために、教育スペースの整備学習サポート事業を2023年10月から、トルコのNGOであるYEÇEDと協力して実施してきました。

学習スペースの整備では、避難用コンテナを用いて、子どもたちが安心・安全に勉強できる学習スペースを設立しました。学習スペースの先生(エミナさん)が、子どもたちの宿題をサポートするだけでなく、学校でのテスト対策として独自の問題を作り、解法を教えていました。また理科の実験教室や工作教室では、ボランティアの方が主体的に中身を考え準備して、子どもたちへの発展的な理解を促していました。

壁には今までの工作教室の作品が掲示されています。

学習相談活動では、学校に通えないリスクが高い子どもと保護者に、訪問による学習相談やメンタルケアを実施しました。学校からドロップアウトのリスクがある子どもは、特にシリアからトルコに避難した世帯に多く、公立サービスから離れて暮らしている場合があります。そのため地元のモスクが主催するイベントやイスラーム指導者(イマーム)の情報を活用し、対象となる子どもの把握に努めました。

訪問活動にお邪魔させてもらいました。親身になってお母さんから教育事情について聴く姿勢が印象的でした。

地震発災から1年半が経過しました。事業地では、まだまだ瓦礫は残り、学校機能も完全に回復したわけではありません。その一方で、力強く地震から復興しようとする人びとの姿勢を目の当たりにしてきました。事業期間を通じて、特に事業地出身のボランティアの方が主体となって活動を継続してもらうために、研修を踏まえて責任ある役割を担当してもらうことで、専門性を蓄えていただきました。今後は、隣接地域で事業を実施するYEÇEDの監督の下、地元のボランティアの方が主体となって、学習スペースや子どもたちの相談活動を継続していきます。

※本事業は、みなさまからの温かいご寄付とジャパンプラットフォームの助成によって実施されました。

海外緊急人道支援課 夫津木廣大