ミャンマー「不安を募らせる人々」
突然のクーデター
2月1日の早朝、国軍がミャンマー国家の権力を掌握したというニュースが飛び込み、関係者一度衝撃を受けたことは言うまでもありません。ちょうど先週には、新型コロナウィルスの状況も多少落ち着きを見せ始め、空路再開のニュースに一時退避している職員や新たに赴任する職員の渡航準備を開始しようと話を進めていた矢先のことでした。
ニュースによると、ヤンゴン地域、ネーピードー管区を含むミャンマー全土で、アウンサンスー・チー国家顧問、NLDの政府閣僚、議員、党員が多数拘束され、2月1日現地時間午前8時30分、国軍放送局「ミャワディ」が大統領府命令を発表し、憲法第417条及び418条の国家緊急事態宣言の規定に基づき、国の司法・立法・行政の権限が大統領から国軍司令官に委譲された旨を発表したというものでした。
現地事務所の状況
直後から私たちはまず職員の安否確認を開始しました。ミャンマーとは事業実施のために日々担当者が現地職員とやり取りをしており、通信事情に特段問題がない状況でしたが、一昨日は、通信障害のために現地との通信がままならない状況が続き、私たちの不安を更に煽りました。
通信状況は地域や通信会社によっても異なるようで、「今は通じているが遮断されるかもしれない」といったうわさも飛び交っていましたが、幸い職員の安否確認はとれました。しかしながら、現地でも報道されている以上の情報はなく、今後の動きを注視していくしかない状況です。銀行は閉鎖され、ATMも使用ができなくなっていましたが、昨日の時点では、銀行が再開されたといった情報が入っています。
通信が遮断されていることで、現地の方が情報は少なく、不安が募るばかりです。2014年以来、ミャンマーの国の発展のため、平和な社会の実現のために子どもたちの教育支援に汗水流してきた現地の職員の落胆ぶりにはかける言葉もありません。
昨日開催された国連安全保障理事会では共同声明の発表を見送りました。国際社会にとっては非常に難しいかじ取りを迫られているかと思います。
活動を継続していく
この2日間は、私たち職員一同も再び闇の中に包まれたような気持ちになりましたが、こういった時だからこそ、私たちは現地の人々、子どもたちにその闇の中に一筋の光を届ける最大限の努力をしていかないといけません。
どのような状況においても子どもたちに希望を届ける、そのために何ができるか、私たちはあきらめることなく、活動の継続をしていくしかありません。今、ミャンマーを、ミャンマーの子どもたちを見捨てないことが大切だと私たちはこれまでの40年の活動で学んできました。
ご支援の皆様には、ご心配を頂きましてありがとうございます。当面は情勢を注視しながら、事業、活動の継続をして参ります。今後ともどうぞ宜しくお願いします。
事務局長
山本英里