読み書きの力が未来を変える|9月8日国際識字デーによせて
(c)Yoshifumi Kawabata
9月8日はユネスコが定めた国際識字デーです。
世界の7億5,400万人もの若者・成人が基礎的な読み書き・計算ができず、そのうち6割以上が女性です。
(出典:Global Education Monitoring Report 2025)
また長期化する紛争や自然災害のために2億人の子どもが学校教育の機会を奪われています。教育を受けられないまま大人になった人たちは、非識字者となってしまいます。
(出典:Global Estimates 2025 Update)
シャンティが1981年の設立当初から軸としている図書館活動は識字環境づくりに貢献しています。学校でせっかく文字を覚えても、本や新聞、雑誌といった書物を読める環境にいなければ、子どもも大人も文字をすぐに忘れてしまうからです。
私は2009年から2016年にシャンティのアフガニスタン事務所長として、アフガニスタンで小学校での図書館事業に従事しました。当時、アフガニスタンの小学校には図書室はなく、子どもの本も限られていました。そこで、小学校に図書室を建設・整備し、アフガニスタン民話を基にした多くの絵本や紙芝居を現地の言葉で出版しました。
図書館活動についての教員研修にも力を入れました。教員は威厳をもって知識を教えるべきという考えが強いアフガニスタンで、想像力や感性を育む絵本の読み聞かせに男性教員の多くは反発しました。しかし、研修を受けて実際に教室で実践してみると教員の考えは変わりました。ある先生は「昔はイスラム戦士の司令官として銃を持って戦っていた。今は教員として絵本をもって教室に立てるのがうれしい。最初は読み聞かせに抵抗があった。でも子どもたちが熱心に絵本のおはなしを聞き、楽しそうにしているのを見て、本当にいい活動だと思う」と話してくれました。
シャンティ教育事業アドバイザー 三宅隆史
「国際識字デー」とは
1965年9月8日からイランで開催された「世界教育相会議(テヘラン会議)」において、当時のパーレビー国王が各国の軍事費1日分を識字基金に拠出することを提案したのがきっかけで、アメリカのジョンソン大統領が米国議会に9月8日を「国際識字デー」に制定するように呼びかけ、UNESCOが制定しました。
写真:川畑嘉文