2016.06.03
読み物
ラピスラズリの悲劇
アフガニスタン事務所(在東京)の三宅隆史です。ラピスラズリは、アフガンで採れる貴重な宝石です。大昔からアフガニスタンのバダクシャン州ではラピスラズリの採掘がおこなわれてきました。エジプトのファラオもラピスラズリを身に着けています。
![image[1]](https://sva.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/06/image1.jpg)
日本の正倉院にある紺玉の帯にもアフガンのラピスラズリが装飾として使われています。
![201408_10_90_c0067690_12144486[1]](https://sva.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/06/201408_10_90_c0067690_121444861.jpg)
シャンティ国際ボランティア会のクラフト・エイドでも、ラピスラズリのアクセサリー(ピアス)を販売しています。

ラピスラズリ・ピアス|高品質アフガニスタン産のピアス ボール・円柱 2タイプ
ラピスラズリは、貧困に苦しんでいるアフガンの経済成長を牽引する資源として期待されてきました。ラピスラズリの原石は、1キロあたり質に応じて4ドルから2,000ドルの価格がつきます。2014年に採掘量はピークの5,500トンを数えました。
しかし、近年ラピスラズリはタリバンの資金源となってしまいました。タリバンが支配している地域では、ラピスラズリの採掘業者に対してタリバンへの「納税」を強要しているためです。ある国会議員は、現在、ラピスラズリの生産による売上の70%はタリバンにわたっていると推定しています。タリバンの資金源を断つため、アフガン政府はラピスラズリの生産を禁止しましたが、取り締まることは困難です。
![200px-Lapis_lazuli_block[1]](https://sva.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/06/200px-Lapis_lazuli_block1.jpg)
ラピスラズリの原石
アフガニスタンには、ラピスラズリの他に、石炭、銅、鉄鉱石、亜鉛、水銀、ルビー、エメラルド、金、銀などの鉱物資源が埋蔵されており、正確な埋蔵量は測定されていませんが、約300兆円にのぼるとも言われています。
紛争が終われば、本来であれば、豊富な資源を有するアフガニスタンは中東の産油国のような豊かな国になれるはずなのです。


