ミャンマー・チン州のコーンスープ料理「サブチ」とは?
皆さんこんにちは。ミャンマー事務所のメメです。本日は、ミャンマーのチン州の郷土料理「サブチ」をご紹介します。
サブチはチン州の最も有名な料理の一つです。
チン州ではチンタウンという丘で地理的にお米よりもトウモロコシが盛んに栽培されていました。通常、トウモロコシは昼食にスープにして食べることが多いのですが、チン州では主食がお米ではなくトウモロコシという人もいるほどでした。というのも、トウモロコシは脱穀・乾燥させて保存するので、時期にかかわらず一年を通して手に入るからです。こうしたトウモロコシを料理する前には、ざらざらして堅い皮を取るためにトウモロコシの粒を叩くのですが、最近は調理済のトウモロコシも販売されていて、調理が楽になりました。
(写真:皮を取り終わった乾燥トウモロコシ)
「サブチ」というのは「ブチ」というコーンスープ料理の一種で、ブチには「サブチ」、「アンブチ」、「ラブチ」という3種類があります。サブチの「サ」はお肉という意味ですので、サブチはお肉とコーンのスープということです。お肉の種類は決まっておらず、牛肉、豚肉、鶏肉など好みのお肉を合わせます。
「アンブチ」はコーンと小豆やカボチャ、青菜などの野菜を合わせたスープ、「ラブチ」はコーンと発酵させた白いんげん豆を合わせたスープです。ラブチは匂いが独特で酸味が強いため、好みの分かれる料理です。特に夏の暑い日に食べるのがおすすめです。
(写真:左からサブチ、アンブチ、ラブチ)
「ブチ」には様々な種類がありますが、どのブチも牛肉の炒め物、ライム、トウガラシのサラダ、お菓子のバヤ・キョー、セロリの葉、チン州名産のなすの漬物と一緒に食べます。サブチはトマトや玉ねぎ、牛肉、キャベツ、コリアンダー、苦いなすを加えることで、トウガラシととてもよく合います。塩辛いものが好きな方は、塩を混ぜるののおすすめです。サブチの特徴は調理中にスパイスを加える必要がないことです。また、トウモロコシがメインのため、エネルギーも豊富です。
昔は大きな鍋で調理し、チン州でとれたひょうたんで器やスプーンを作っていました。最近も写真写りを意識して、昔の鍋と同じように真ん中が広く、底が狭い大きな鍋を使って料理することもあります。チンタウンに行くと、現在でも昔の鍋やひょうたんでできたスプーンや容器を見ることができます。
ブチはチンの人々に愛され、昼食にサブチを食べることが現在も習慣の一つになっています。というのも、伝統的な料理であることに加え、自然な甘さとみずみずしさを味わうことができ身体にも良い料理だからです。チン・ナショナル・デーなどのお祭では売れ筋商品の一つです。一度食べるとやみつきになるサブチは、海外に住むチンにルーツを持つ人々がチン州からトウモロコシを取り寄せてまで食べたくなる料理です。
私がよく見かけるのはお肉を入れた「サブチ」です。お肉は市場に行けば簡単に手に入りますが、「アンブチ」や「ラブチ」に使う豆は市場には出回っておらず、チン州でしか手に入りません。サブチはどの地域に住むチンの人々からも愛され、自分達それぞれの伝統に従って調理されます。また、ザガイン地域のカレー郡、ヤンゴンやマンダレーなどチンにルーツを持つ人々が多く住む地域にはサブチ料理店があり、そこを通じて他の民族の人々にも広まっています。冬のチン州でトウガラシ入りの熱いサブチとお茶を味わえば、とても幸せな気分になれますよ。ミャンマーに来る際にはサブチを食べるのをお忘れなく!
ミャンマー事務所 メメ