ミャンマー(ビルマ)民主化を難民キャンプの人はどう見ている?
新年あけましておめでとうございます。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の小野です。
本年も、ミャンマー(ビルマ)国内、キャンプ周辺には大きな変化がありそうです。皆様も引き続きご注目頂ければ幸いです。
さて当事務所では年度末に、7つの難民キャンプを回って、コミュニティ図書館の関係者と年次会議を行います。私は、今回、そのうち5つのキャンプに参加させてもらいました。
ボランティアも活動報告(メラマルアン)
足を揃えてしゃがんで器用にお昼(メラマルアン)
図書館委員会、図書館員、青年ボランティアの面々など各キャンプ平均30名前後が集まる中、各人からの年次報告、SVAからの次年度計画の紹介、課題に関する討議などがスムーズに行われます。
エッソスタッフがSVA計画を紹介(メラウ)
キャンプ委員長も参加してくれました(最左)(ヌポ)
私にもSVAを代表して毎度年末挨拶を兼ねたスピーチの時間が与えられます。毎度何を話そうかと悩むのですが、今回、全キャンプで同じことを話してみました。つまり、2010年11月の総選挙から1年、ミャンマー(ビルマ)の民主化関連の動きを紹介してみたのです。「いったいキャンプ住民はどう見ているだろうか」というのが私の素朴な疑問でした。
図書館ボランティアの寮に招待されて雑談(ヌポ)
カレン舞踊の衣装に刺繍してました(ヌポ)
「2010年11月から民主化プロセスがだんだん進んできたように見受けられます。アウンサンスーチーさんが自宅軟禁を解かれ、政治犯が一部釈放され、デモ・集会の自由が保障されるよう法改正も行われました。中国支援のイラワジ川の巨大ダム建設の中止、2014年アセアン議長国の決定、米国国務長官(クリントン)の57年ぶりの訪問など、国際社会から見ると、たった1年でミャンマー(ビルマ)には急速に変化が来ているように見えます・・・」
ツリーも登場!プレゼント交換もありました(メラ)
「しかし、難民が安全に帰還できる時が来るまでには時間がかかりそうですね。第三国に出発する人もいますが、難民キャンプというコミュニティで生活している今現在も、決して無駄な時間ではなく、それなりの重要な価値を持っていると思います・・・」と話しながら、SVAの来年度以降の事業展開にも多少触れました。
図書館員とSVAスタッフでパチリ!(ウンピアム)
キャンプによって反応が違いますが、年配の人たち、キャンプ運営に携わる人たちは「ミャンマー(ビルマ)は何十年も我々をいじめてきた。そう簡単に信じられるわけがない。本国帰還もそう簡単には始まらないはずだ」というのが共通の見解のようでした。
ミャンマー(ビルマ)の民主化が日本でも報道されていますが、難民の人たちの疑心暗鬼を消していくのはまだまだ難しそうです。これまでさんざん裏切られてきた人たちは、国が変わっても気持ちの面でなかなか受入れられないのだと思います。
たぶん、彼らにとって前提は、カレン民族同盟(KNU)を含む少数民族の反政府勢力とミャンマー(ビルマ)政府との停戦プロセスが進み、和解することかも知れません。噂では、1月12日からカレン州の州都パアンでKNUとミャンマー(ビルマ)政府との和平交渉会議が開催されるとのこと。ここでいい結果が出され、それがKNUリーダーが難民キャンプのカレン系住民に向かって伝え始める時をきっと待っているのかも。それをきっかけにキャンプ住民の暗雲が晴れて、人々はミャンマー(ビルマ)政府の取り組みを少しずつ信じ始める・・・そのようなシナリオになっているのでしょうか。
炒めカオソーイ(美味!)をお昼に頂きました(メラ)
年頭から、また硬い話になって恐縮ですが、本年もミャンマー(ビルマ)民主化の動きから目が離せない1年になりそうです。今年も、こうした難民キャンプの人々の気持ちの変化なども随時お伝えしていきたいです。
本年もどうぞよろしくお願い致します。