2014.09.15
読み物

9ヵ月

スタッフの声
ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ

こんにちは

インターンの岡田です。

9ヵ月(東京での研修を合わせるとおよそ1年)、あっという間に過ぎました。

これが最後のブログ更新となります。

色々と書きたいことはありますが、やっぱり最後はこの9ヶ月間で学んだことを少しだけ書いていこうと思います。

最近は、最後ということで各難民キャンプを周る機会をいただきました。

インターンをやっていてまだまだ見えにくかった部分が、少し見えた気がした1ヵ月でした。

今までは、メーソット周辺の難民キャンプを中心に見てきたため、なかなか他のキャンプの様子は見えず、

なおかつ図書館で活動する以上、図書館周辺しか見えていませんでした。

それが今回、ようやく少しこの7つの難民キャンプの様子が見えた気がしました。

各難民キャンプには、大小のNGO,CBO(Camp Based Organization)が存在していて、

その数こそキャンプによって異なるものの、それぞれが難民キャンプの運営に大きく携わっています。

ただ、その各組織の中にもまた、小さな組織がいくつもあり、

さらに難民キャンプの外にまで人が、組織が、広がり、繋がっており、

複雑に、けれど実に多様なアクターが難民キャンプを形成していることに気がつきました。

私の大学の研究テーマは市民参加のまち(コミュニティ)づくりです。

先進国でも市民が自発的に一つのコミュニティを良くしていこうという動きはなかなか見られないのにもかかわらず(見えにくいだけかもしれませんが)、

ここには自発的にコミュニティを良くしていこうという動きを見ることができます。

様々な複雑な気持ちを抱えつつも、ひとりひとりが自分の役割を認識していて、それぞれが自分たちのコミュニティのために働こうとしているのです。

これは第三国定住として海外へ渡った人も、移民としてタイに来た人も、同じです。

私がここに来た当初、自分の役割はなんだろう?

ということをずっと考えていました。

自分の目的をただ達成すればそれでいいという気持ちはなく、

彼らに何ができるだろう?

とひたすら考えていました。

最初は、声を聞くことだと思いました。

数少ない外国人学生という立場だからこそ、学生同士でしかわかりあえないことを聞き、話すことが大切なのだと思っていました。

それはきっと今もこれからも学生でいる間はそうなのかもしれません。

しかし、ここ最近は、

彼らがここで生きた証を残したい

そう思って残りの一ヶ月を過ごしました。

難民キャンプで誰かと仲良くなる度に、

「あなたはこのキャンプが好きですか」

と聞いてきました。

全員「好きです」と答えました。

ある同い年の男の子は

“I like. Because this is my culture, this is my community”

と答えました。

難民キャンプでの生活そのものが彼にとって文化であり、その空間こそが彼のコミュニティだったのです。

生まれてから、あるいは幼い時から、ずっとその小さな難民キャンプの中で過ごしてきたから、たとえ第三国に行きたいと口では言ったとしても、たとえ物があふれていなくても、たとえ教育の質が低くても、そこは間切れもなく彼らにとって一つの故郷なのだろう、と思いました。

難民キャンプは、近い将来なくなるべき時になくなるでしょう。

将来故郷の村に帰ったとしても、海外へ渡ったとしても、もし仮にカレンの国ができたとしても、

30年も続いた難民キャンプには、たくさんの人が生まれ、たくさんの人が亡くなりました。

母校があれば、友達と遊んだ広場がある。
家族でご飯を食べた家があれば、近所の人に怒られた路地がある。
仕事仲間と汗を流した職場があれば、喧嘩をした時がある。
皆で探検した森があれば、皆で笑った図書館がある。
そして、生まれた病院があれば、家族が眠る墓も、ここにある。

それが、人が生きること。

ある友人が、嬉しそうにこんな話しをしてくれました。

「いつか皆でこの難民キャンプから新しい自分たちの土地に移るんだ。」

それは難民が帰ることになった時のために用意された土地でした。

嬉しい気持ちになりました。

希望にあふれた未来が待っている

そんな雰囲気をその友人から感じました。

でも、ミャンマーにはロヒンギャ問題からも見てとれるように、宗教や民族間の対立があります。

教育、医療、法の設備も、制度すらも整っていません。

これから急激に発展していく中で、伝統文化や伝統的コミュニティは衰退するでしょう。

新しい価値観に触れて、新しく国が形成されていく中で、

たくさんの問題にぶつかるでしょう。

それでも、二度とこの国から難民が生まれないことを祈り続けたいと思います。

これもまた、僕の一つの役割かもしれません。

最後に、この短い期間の中でお会いした全ての人に感謝の言葉を申し上げます。

ここで出会った人ひとりひとりから沢山のことを学ばせていただきました。

ありがとうございました。

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ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所
岡田