近くなるミャンマー(ビルマ)
こんにちは。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の菊池です。
今日は、事務所のあるメーソット周辺の国境事情をご紹介します。
私は、2011年からメーソットに駐在していますが、その当時では考えられないくらい、この数年でミャンマー(ビルマ)が近く感じられるようになりました。当時はメーソットと対岸のミヤワディを結ぶ国境の橋が閉鎖されており、橋を渡ってミヤワディに行くことができませんでしたが、今ではビザを持っていれば、対岸のミヤワディだけでなくこの国境からミャンマー(ビルマ)国内へと入っていくことができます。(写真は、国境にかかる友好橋をメーソットからミヤワディへと渡るところです)
2015年1月からは、この友好橋の開閉時間も変わり、朝5時半~夜8時半までこの橋を渡ることができるようになりました。
今、東南アジアでは、今年の末に予定しているASEAN10か国によるアセアン経済共同体(AEC)の発足が注目されていますが、これが実現すると、物品、サービス、投資、熟練労働者などが自由に移動できるようになり、周辺国も含めて貿易の活性化が進みます。ヒト・モノ・カネの移動で重要になるのが道路ですが、メーソットは東南アジアの東西回廊の重要な位置にあります。この東西回廊は、ベトナムのダナンから入り、ラオス、タイのムクダハン、コンケン、ピサヌローク、そしてメーソットを通ってミャンマー(ビルマ)へと抜けていきます。
ミヤワディからミャンマー(ビルマ)国内に入っていくときには、ドナ山脈という山を越えていくのですが、現在の道では、山を越えてコーカレーという町まで出るのに2時間半~3時間くらいかかります。しかも一方通行になっており、1日おきに方向が入れ替わるようになっているため、山の途中でトラックが故障して止まってしまうと、そのまま渋滞になり、いつまでも車が動かないことがよくあります。
現在、このミヤワディ~コーカレー間で新しい道路を建設しており、まだ工事中で全面開通にはなっていませんが、工事の休憩時間であるお昼前の11時過ぎ~、または17時以降、限られた時間ですが道路を通ることができます。この道路を使えば、45分でコーカレーまでたどり着くことができ、時間を大幅に短縮できるようになるため、早い完成が期待されています。(写真は、メーソットからミャンマー国内へ入る道路の地図です)
ちなみに、ミヤワディからカレン州の首都パアンまでは、乗り合いバスを使うと7500チャット(約750円)で6時間、ミヤワディからヤンゴンまでだと12000チャット(約1200円)で12時間程度で行くことができます。(時間はかかりますが、安い!)
このように、メーソットは、東西回廊の重要な位置にあって、ミャンマー(ビルマ)への入り口となっており、現在、タイ政府が力を入れて投資を始めています。この数年で、ショッピングセンター、ホテル、マンションなどが次々と立ち並んでおり、土地の価格がどんどん上がっています。ミャンマー(ビルマ)のミヤワディ側、アジアンハイウェイ沿いの地域でも同様に土地の価格が上がっているそうです。タイでは、今年から第2の友好橋を建設する予定があり、大型トラックも橋を渡れるようになるそうです。(写真は、第1友好橋です)
年々ミャンマー(ビルマ)が近くなってきている中で、ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所では、昨年から難民キャンプの図書館に配架する学習参考書やニュースや雑誌などの図書をミャンマー国内(ヤンゴン)から購入するようになりました。特に昨年末からはミャンマー事務所の協力もあり、ヤンゴンの書店と電話連絡しながら、毎月図書を購入しています。メーソットでの購入と比べ、非常に安価で種類が豊富、さらに最近出版された図書が手に入るため、難民キャンプの人々により多くの情報が提供できるようになるだろうと、事務所内のスタッフも期待しています。(写真は、難民キャンプの図書館で雑誌を読む男性)
このようにミャンマー(ビルマ)が近く感じられるようになる一方で、ミャンマー(ビルマ)難民の置かれる環境も劇的に変わってきており、これまで以上に帰還に関わる議論が活発になっています。また今後、難民キャンプでの帰還に関わる状況についても皆さまにご紹介したいと思います。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 菊池