子ども達の夢
ハラゲー!サワディーカー!
ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ事業事務所インターンの浅木です。
メーソットの事務所に来て早くも2カ月が経ちました。
今日は、私事ですがこの2カ月間で気づいたことについて、私に起きた考え方の変化も含めて書きたいと思います。
医師、スポーツ選手、宇宙飛行士、パティシエール、警察官、アナウンサー、パイロット、保育士、教師、研究者、ピアニスト、、、
これらは、私が大学生のころに教育実習で聞いた「日本の子ども達が将来つきたい職業」です。
一方、タイ・ミャンマー(ビルマ)国境の難民キャンプで、以前夢について子ども達に話を聞く機会もありました。
・ 先生になってキャンプ内の子どもたちに勉強を教えたい
・ 医者になって周囲の人々を助けたい
・ NGOで働いて困っている人を助けたい
・ 政治家になって、自分たちの状況をなんとかしたい
子ども達からそんな声を聴くことがありました。
ここに暮らす子どもたちらしい夢だなと思いました。
子ども達の夢を聞く機会は一度だけではありませんでした。
その後、多くの子どもから医者になりたい、教師になりたいという声を聴きました。
この状況を「そうか。医者や教師は人気な職業なんだな!」と納得することができますか?
さまざまな見方があると思いますが、
私は最初「将来選択における選択肢が少ない」と率直に感じました。
もちろん、単純に日本の小学生の挙げる夢と比べることは出来ませんし、選択肢が多いことが一概に良いことだとは言えません。
けれども、子ども達自身も気づいていないような「なりたいもの・やりたいこと」があるのでは?と考えていました。「こんな仕事があったのか!」「これは自分のやりたいことに近いかもしれない!」と新しいことに気づくことは子ども達が彼らの今後を考えるうえでとても重要だとも思っていました。
そんなことを考えると同時に、日本との比較からではなく「現状をありのまま受容することが重要だ」ということも実感していました。
しかし、言うは易し行うは難しです。
日本で物に溢れた環境で生活をしてきた私は、キャンプにはあれもない、これもないと「存在しないもの」に目が行きがちでした。そして、ここに住む人にとって「今ここに存在しないもの、知らないもの」を想像することの難しさを感じていました。
しかし、2カ月が経ち、図書館事業を間近で見ながら気づけたことは、
子どもたちがいかにコミュニティで働く人々を見ているかということです。
子どもたちが「○○になりたい」と思う背景には、そう思うようになった「きっかけ」や、あんな人のようになりたいと思える「あこがれの存在」がありました。
なんでも知っている学校の先生、病気の人を救う医者や看護婦、外国語を使いながら海外の人とコミュニケーションをとるNGOの現地スタッフ等、子どもたちは、コミュニティに貢献する人々を身近に感じ、その役割を認識していました。
そして、図書館やそこで働く図書館員・青年ボランティアも大事な役割を担っていました。
なかには青年ボランティアになりたい・図書館員になりたいと語る子どもたちや図書館員の真似をして友人に読み聞かせをする子どもたち、絵本を書きたいという子どもたちもいます。
やりたいことがある、なりたいものがあるという子どもたちは、とても躍動しているように見えました。「あこがれの存在」が近くにいることで、子ども達がより活発的に活動できているのではないかと思います。
コミュニティ図書館にある絵本を見てみると、消防士や絵描き、美容師、映画監督、ミュージシャンといったさまざまな職業の主人公が登場し、新しい職業を知る機会にもなっています。
子ども達が、将来「なりたいもの」に目を向けられるように。
そして、「なりたい自分」に向けて頑張りたいと思えるように。
図書館や絵本がそのための小さなきっかけとして機能しているのだなと感じました。
ここに住む子どもたちが、図書館を通して少しでも多様な経験を得られるよう
今後も応援よろしくお願い致します。