2018.04.25
読み物

第十回「図書館にいる人びと」

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
人びとの声
図書館

こんにちは。今月は2回目になりますが、第十回目の本連載を投稿させていただきます。今回お話を聞いたのは、キャンプ内の学校に勤める熱心な先生、小さな子どもとともに図書館を訪れている若いお母さん、そして新入の図書館担当者さんです。

●「図書館にいる人びと」のストーリー
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「私の名前はソー・チット・ウーです。23歳です。メラウ難民キャンプに来たのは2010年です。ミャンマーのカレン州から来ました。現在は、キャンプ内の第一高等学校の教師をしています。2016年から教師として働いています。
そして図書館をときどき訪れては、興味を持った本を読んでいます。個人的には英語の文法に関する書籍と世界史に関する図書を読むのが好きです。ほかの人は、他のさまざまな種類の図書を読んでいるとは思いますが、私としては、英語の文法を読みたいのです。なぜなら、英語をもっと習得したいからです。図書館は人びとが多様な種類の図書や情報を見つけることができるとても良い場所です。政治や文法、雑誌や辞書などを見つけ、読むことができます。この図書館には週に一度ほど訪れていて、もちろん英語の文法と世界史の本を借りています。」

―2018年2月、メラウ難民キャンプにて


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「私の名前はタ・エ・ドーです。17歳です。
メラウ難民キャンプには2014年に、ジョームプラウという村から来ました。
今、私には仕事がありませんが、赤ん坊がいます。娘の名前はエ・ル・デーです。
図書館のことは、このキャンプに来た時から知っていました。ですので、だいたい週に一回ぐらい、図書館を訪れています。今は私の小さな子どもとともに来ています。見つけた本を手に取って読んでいます。こうして図書館には、読書を楽しむため、そして情報を得るために訪れています。本は私自身にとって、また皆にとって、非常に役に立つものであると思います。」
―2018年2月、メラウ難民キャンプにて


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「私の名前はダ・レ・ムーです。メラ難民キャンプで新しく図書館担当者になりました。先月3月から仕事を始めました。それ以前は、キャンプ内のカレッジの学生でした。4月5日が卒業式だったので、卒業したばかりです。
私のカレッジは、教育を専門に勉強する学校でした。シャンティの事業は、私の専攻である教育というものに取り組んでおり、自分の関心に合っていましたので、シャンティの仕事は興味を持ちました。そして学業を終えたときにちょうど、この空きポストを知ったのです。
私は2009年にキャンプに来ました。そして7年生に入学しました。私の故郷であるミャンマーのカレン州では、教育の機会は非常に限られているばかりでなく、費用がとても高くかかります。難民キャンプにおける教育の質はそれに比べてよいと思います。私はもっと教育を受けたかったし、英語スキルも向上させたかったのです。こうして、高等学校を終え、カレッジに進学し、卒業することができました。教育を専攻したのは、教師になりたいというよりも、教育自体に興味があったからです。
私は高校生になった時、自分の居住地に一番近かった第一コミュニティ図書館を訪れるようになりました。その時までには、文を読むことを覚えていたからです。図書館では、主に一般教養書を読みました。時には小説も読みました。
今こうして図書館担当者となり、メラ難民キャンプにある6つの図書館のうち特に第一から第三の3館に対する責務を担っています。毎日、担当の図書館の一つに滞在し、どのようによりよい運営を促進していくかを学んでいます。
メラ難民キャンプは広いため、図書館担当者が2名いますが、もう一人の図書館担当者も私と同じ時に入職した新しい図書館担当者です。そのため、ともに協力し合って働く必要があるのです。
今日は、各コミュニティ図書館のモニタリングをどのように実施するかを学びました。実際に第一図書館のモニタリングも行いました。うまくいったと思います。この仕事でもっと経験を積みたいです。そして図書館員さんたちのパフォーマンスを向上させ、図書館の活動を活発化させ、子どもたちや他の図書館利用者とのよりよいコミュニケーションを実現させていきたいと考えています。」
―2018年4月、メラ難民キャンプにて


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「図書館にいる人びと」をお読みいただき、ありがとうございました。
図書館に来るさまざまな人びとのお話を聞くと、図書館という空間が本当に皆に開かれた場所であることを実感します。
今後もこのだれもが自由に出入りできるコミュニティ図書館という空間が、来る人一人ひとりの人生を豊かにするような本との出会い、そして人々との出会いを生み続ける場であってほしいと思います。

私たちの事務所では今、これらのコミュニティ図書館の存続をかけて、クラウドファンディングに挑戦中です。
どうか、難民キャンプの図書館を支えるために、お力をお貸しいただけないでしょうか。
参加方法など、詳しくはこちらのページからご覧いただけます。ご協力お願いします。

ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所
田村