2017.08.06
読み物

「文字を覚えるたびに、孫に教えるの!」

カンボジア
人びとの声

シャンティ東京事務所・常務理事の市川です。
先日、2年ぶりにカンボジア事務所へ訪問。その時に一番うれしかったことを皆さんにお伝えしたいと思います。

(CLCの概観)
当会では、コミュニティ・ラーニング・センター(CLC)の運営支援を地域の皆さんと共に、実施しています。そのセンターは、一言で言えば、地域の公民館。成人識字学級と図書館活動を基本として、農業支援をしたり、バレーボールコートがあったり、様々です。

(CLCの建物の横で、バレーボールに熱中する若者たち)
あるCLCに訪問した帰りのことです。女性の方が、建物の入り口にポツンと座っていました。識字の教科書を持っていたのでお声がけをしたところ、識字学習者のイエンサリアンさん(67歳)でした。成年識字学級は、週に6日間、7ヶ月間にわたります。
CLC成人識字学級で学ぶ女性
(成人識字学級で学ぶ女性たち)

「とっても、嬉しい。文字を覚えるたびに、孫に教えてあげるの!」

(教科書を一生懸命説明してくれています)
「この字を覚えたの!計算もできるようになったのよ!」と教科書を見せてくれました。

(上手に書けています)
「本当に、ありがとう。楽しくてしょうがない」と満面の笑顔。

(イエンサリアンさん67歳。この笑顔が本当にステキでした!)
 彼女の喜びを受け取ると、こちらまで嬉しくなってしまいます。文字を覚えることは、生活上の不便さを解消するだけでなく、人としての尊厳を取り戻し、自ら人生の扉を切り拓くことができます。どんな思いで、今まで過ごしたのかと思うと、胸が熱くなります。子どもの時に文字を学ぶ機会を奪われて、人生の終盤を迎える今、文字を覚えようとするエネルギーに、改めて、文字を獲得する思いの大切さを教えていただきました。