心に刻まれた文化
みなさんおはようございます。支援者リレーションディレクターの神崎です。
カオイダン難民キャンプでは伝統舞踊教室が開かれていました。
カンボジアの文化に接することのできる機会を作ることは、彼らのアイデンティティを保つうえでも重要なことです。文化が否定されたポル・ポト体制下で生き残った数少ない王立民族舞踊団の一人、ムア・ソーカナラットさんが伝統舞踊を披露してくれました。
学習や技術習得の機会も与えられず、祖国と呼ばれる国さえ持たない人々に残された民族の誇りを、自らの言葉で次の世代へ伝承してほしいとの願いがそこに込められていました。
伝統舞踊を舞う女性たち
将来、難民が第3国へ出て行くにしても、祖国カンボジアに戻るにしても、彼らがこの世にいる限り、クメール民族の誇りと文化を忘れて欲しくないのです。
第3国定住、本国への送還プログラムが始まっているなか、キャンプに残されている人々こそ、教育・文化支援を必要とする状態でした。
伝統舞踊の中にはアプサラの舞があります。
アプサラは天界に住む美しい女性たちのことで、伝統楽器の演奏が始まると、ゆっくりとした柔らかい動きをしたアプサラの踊り子達が登場します。
アプサラの踊り子は、片手の5本の指を使い「花」を表現します。もう片方の手で指をさします。これは「伝えること」、「述べること」を表しています。
アプサラの舞は、カンボジア人の人格。
やさしく、明るく、強い肉体と心を持つカンボジア人であり、カンボジアの文化です。
伝統舞踊を教えるリーダーたちは口々に言いました。
「自分が教えた仲間がアメリカや日本でカンボジアの文化を伝えてくれるとしたら、こんなにも嬉しいことはないよ。生あるものはやがて死に、形あるものはいつか壊されてしまう。でも僕たちの心に刻まれたクメールの文化は、永遠に不滅さ。」
「たとえ暮らしぶりがどうなろうと、僕たちの文化は残り続ける。これが自分の文化なんだ!子どもたちにもそう言わせてみせるさ。」
「だがキャンプで産まれた子どもたちは分かってくれるだろうか。あの子達が、どこにも拠り所のない根なし草になってしまう気がして・・・・」
キャンプの人々のこれまでの半生は、まさに苦しみの連続でした。もうこれ以上苦しんでほしくないのです。流された血や涙があまりに多過ぎました。誰もが普通の生活を望んでいるのです。
あたり前の幸福をつかんで欲しい。
これからの人生を探っていって欲しい。
ポル・ポト時代のことを笑い飛ばす、その勇気をいつまでも忘れないで欲しい
それがスタッフの祈りのような願いでした。
踊りを撮影したビデオにみんな興味深々
現地の文化を伝承する支援活動は、現在も引き継がれています。
ミャンマー(ビルマ)難民キャンプでは、毎年1回様々な民族が集まって「難民子ども文化祭」を開いています。
日中の部では、異なる民族の子どもたちが1つのチームを構成し、それぞれのチームが協力してレクリエーションに取り組みます。夜の部では各民族のチームが、それぞれの伝統舞踊や歌を披露します。
面白くって転がっちゃった
様々な民族が共存しているキャンプの中で、自分たちの文化を大切にすること、異なる民族への理解を深めることを目的としています。
各民族の子どもたちが交流することによって、自らのアイデンティティを再確認する機会となっています。
毎年違うテーマを掲げて開催する難民子ども文化祭ですが、大切にしているのは「共生」ということです。
それぞれの民族が異なる文化・慣習・言語を持っていて受け継がれています。それらの違いは素晴らしいものであり、多様性を尊重することの大切さを子どもたちに知ってもらう機会にしています。
難民子ども文化祭は、将来「シャンティ(平和)」な社会を築く上で、欠かすことのできない「互いを尊重し、共に生きる」ということを、未来を担う子どもたちに伝えています。
文化祭が終わる時は涙、なみだ
子どもたちに必要なのは、学校で得られる「学び」だけではありません。
難民子ども文化祭のようなイベントも、子どもたちにとっては貴重な「学び」を得ることができる場なのです。
シャンティの使命である「共に生き、共に学ぶ」の実現に向け、ご協力をお願い致します。
インターネットを通じて寄附を呼びかけています。
6月30日(木)までに目標金額の350万円が達成できれば、支援が開始できるというものです。
「まだ本を知らないアジアの子どもたちへ10万冊の絵本を届けたい!」READYFOR?
まだ半分の寄附しか集まっていません。みなさんのご協力をお願いします。