2025.03.31

カンボジアの万能アイテム クロマー

こんにちは。カンボジア事務所のボリーです。

皆さんは、「クロマー」についてご存知ですか?

クロマーとは、カンボジア人が日常生活においてよく使っている伝統的な布織物であり、カンボジアのアイデンティティや文化の象徴でもあります。実はクロマーの歴史は約2200年前にまで遡ると言われているほど古く、カンボジアの人々が初めて「織る」ことを学んだ時に始まったと考えられています。また13世紀後半になると、人々は社会的地位や使用する織物の種類によって異なる服装をしていたことが記録に残っています。

今回クロマーについて紹介してくれるボリーさん

 

クロマーは、カンボジアの現代社会においてさまざまな用途で使われています。国民の祝日(水祭り、クメール正月など)や文化的な行事の際にはクロマーを着ている人が多くみられるほか、特に農村部では、日差しや砂を防ぐために髪を覆うスカーフとして用いられることもあります。街中では、クロマーはファッションのトレンドを示すアイテムとしてもみなされており、デザイナーたちは現代風のスタイルをクロマーに組み込んで、ドレスやバッグ、アクセサリーにアレンジすることもあります。

髪を覆うスタイル

 

腰に巻くスタイル

 

とにかくクロマーは万能で、タオルやバッグ、ブランケットとしてさえも使えるいわば便利グッズです。また、クロマーにはさまざまな色や柄もあるため、歴史や文化を受け継ぐと同時に個人のファッションスタイルを追求することもでき、若い世代の人々にも人気です。さらに、教育現場でもクロマーの歴史や重要性を広める動きがあり、例えばクメール正月の時期になると、多くの学校では先生と生徒がクロマーを着て新年のお迎えをお祝いします。

クロマーの色・柄・長さなどのバリエーションは豊富

 

クロマーは、過去を想起させてカンボジアの豊かな歴史と伝統を現代に結びつける役割を果たしているといえます。カンボジアを訪れる観光客は、その文化的な重要性を知ってお土産としてクロマーを購入することが多いです。また、地元の職人たちはこうした需要から利益を得ることができており、この流れが伝統的な織物技術の保存に役立っています。そして2024年には、なんとクロマーがユネスコ無形文化遺産に登録され、今後のさらなるクロマーの発展と継承が期待されています!

クロマーについて紹介しているクメール語の絵本。カンボジア事務所の移動図書館車両にも配架しています。

 

このように、クロマーは現代のニーズやトレンドに適応しながら、過去と現在の架け橋となり、カンボジアの生活に欠かせない存在であり続けているのです。

 

バッタンバン事務所 読書推進活動/プロジェクト・スタッフ ボリー