2024.06.20

ラオスの結婚式を紹介します!(前編:~バーシー・スークワン~)

ラオス

サバイディ!ラオス事務所の喜納です。

去った5月21日は、「対話と発展のための世界文化多様性デー」でした。
この日は、国連により国際的な休日として公認されており、世界中の人々が多様な文化の価値を理解し調和して共存することを考える日としています。

国際協力の分野にいると、日々の業務の中で文化や価値観の違いに遭遇することがあります。
また、事業国で生活を送っていると、さらにそういった機会によく出会います。

実は、先日シャンティのラオス事務所職員のブンホンさんの結婚式が行われました。
(ブンホンさん、ご結婚本当におめでとうございます!)

本ブログと次回のブログでは、前編と後編に分けて、ブンホンさんの結婚式を例にラオスの結婚式について紹介します。
※ブンホンさんの結婚式を例に記事を掲載することについては本人の了承を得ています。

結婚式の日取りの決定と式に向けた準備
ブンホンさんの結婚式は平日に行われました。
どうして週末に開催しないのか聞いたところ、この日が吉日だったからだそうです。
日本で結婚式の日取りをする時も、【赤口】や【仏滅】は避け、【大安】を選んだ方が良いと言いますよね。

また、結婚に際して最も重要視されるのが、女性への送り物と結婚費用(カー・ドーン)、また女性の母親への養育謝礼(カー・ノムメー)です。ブンホンさんは、「僕は、これくらいの金額を払ったよ!」と、自信たっぷりに語っていました。

招待状の送付
結婚式の日取りと事前の準備が整ったら、親族や友人、知人に招待状を送ります。
日本では、近年「WEB招待状」が登場し多くの人が出欠の確認に使っていますね。

一方、ラオスでは未だ紙で招待状を送るのが殆どだそうです。
私たちも、ブンホンさんから招待状を頂きました!

素敵なデザインが施された招待状でした。

ブンホンさんの結婚式の招待状(個人情報が漏れないようにQRコードに修正をかけています)

招待状を開いてみると、下部が袋状になっており、そこに祝儀を入れて結婚式の当日に納めます。
驚くことに、祝儀はQRコードを使って送金することもできるのです!

結婚式の招待状は、日本もラオスも時代に合わせて変化しているんですね。

結婚式の当日
日取りが決まったら、本格的に結婚式当日に向けて準備を行います。会場の予約、バーシー・スークワン(下記に説明)の準備、衣装やカメラマンの手配など、新郎新婦は大忙しです。

そうこうしているうちに、結婚式当日はあっという間にやってきます。
式の日の大まかな流れは、新郎が新婦の家に新婦を迎えに行き、そこで伝統的な儀礼であるバーシー・スークワンを行い、客人に食事をふるまい、夕方から披露宴を開催することとなっています。

新郎による新婦のお迎え
式当日の朝9:30頃、ラオスの伝統的な衣装に身を包んだブンホンさんが、親族や友人を同伴して愛する新婦が待つ家の前までやってきました。

新郎のブンホンさんが新婦の家の近くまでやってきたときの様子

新郎の友人や親族は、マイクや音楽、そして手拍子を使ってその場を盛り上げます。
新婦の家に向かう道中、新婦側の友人や家族と合流し一緒に家の入口まで歩いて行きます。

新婦の家に向かう道中の様子(手前)新郎とその友人と親族(左奥)新婦の友人と親族

家に到着しても、新郎はすぐに家の中には入れてもらえません。
新婦の家族は、新郎の本気度を確かめるための質問をしたり何か試練を与えたりします。

玄関前にて、新郎の前に立ちはだかる金銀で装飾された紐(金銀の扉)を持った新婦の親族

時代や地域によっては、この試練が非常に長く続く場合もあるそうです。
しかし、シャンティ職員のブンホンさんは素敵で誠実な男性だけあってか、新婦の家族はすぐにブンホンさんを認め家の中まで迎えてくれました。
家に入る前に、花嫁の妹が新郎の靴を水で洗うのが通例だそうです。

ブンホンさんの奥さんは妹がいないため新婦の男兄弟が靴を洗っていました

バーシー・スークワン ~お祝い事が行われるときの伝統儀礼~
やっとの思いで家に入った花婿は、パークワン(バナナの葉とマリーゴールドなどの花で装飾されたバーシー・スークワンには欠かせないお飾り)の前で花嫁が寝室から出てくるのを待ちます。

写真中央のパークワンの前で新婦を待つブンホンさん

きれいな伝統衣装に身を包んだ花嫁が寝室から登場し、花婿の隣に腰をおらしたところから、ラオスの伝統儀礼、バーシー・スークワンが行政職員のアナウンスと共に始まります。

花嫁が登場し花婿の隣に腰を下ろした時の様子

開始のアナウンスでは、新郎新婦と両家の紹介に加えて、新郎が結婚に当たってパー・ノムメー(養育謝礼)をいくら支払ったかなど、結婚式までの過程を事細かに説明します。
また、本儀礼の最中、封筒などに包まれていない裸のお札が様々な場面で観られました。
祝儀の中身や結婚式に係る費用についてあまり触れない日本とは異なるところだと感じました。

新郎の両親が新婦の両親にカー・ノムメーとカー・ドーンを渡している様子

魂を繋ぐ白い糸
バーシー・スークワンの最中、新郎新婦はパークワンに結ばれた白い糸をそれぞれの手に掛けていました。
この儀式は、人間の中にある32個の魂を繋ぎ留めておくことを目的とし、結婚式以外にも新年や、家の新築祝いなどでも行われます(『ラオスを知るための60章』より)。パークワンに繋がれた白い糸は、その魂を繋ぎ留めておく役割を果たすのです。
本儀式の終盤では、参加者全員が新郎新婦の手首にこの白い糸を結びました。

参列者が白い糸を花嫁の手首に結ぶ様子

その他にも、バーシー・スークワンでは、様々なプログラムが行われましたが、中でも興味深かったのが、新郎新婦が手を交差させゆで卵の黄身を半分に割ってお互いに食べさせる儀式(ポーン・カイ)です。

新郎新婦がゆで卵をお互いに食べさせ合っている(ポーン・カイ)時の様子

ラオス事務所副所長のオイさんの説明によると、卵の黄身を割ってお互いに共有することは、今後の2人の人生において、喜びも苦難も全て共有することを意味するそうです。
しかし、事務所の他の職員は異なる解釈を持っていたり、オイさんの説明にしっくりきていないようで、解釈は人それぞれなのかもしれません。(笑)

バーシー儀式が終了した後は、出席者にご馳走がふるまわれました。
それにて、結婚式当日のお昼の部が終了しました。

次回のブログでは、後編として、ラオス結婚式夜の部の披露宴について紹介します!

ラオス事務所 喜納