【バンコク週報】ラオスで「SEA GAMES」開催
■ラオスで「SEA GAMES」開催
2009年12月9日、18時。第25回「SEAGAMES(シーゲーム)」ビエンチャン大会が、
ラオス・チョンマリー大統領の宣言で開会されると、ラオス国立競技場の夜空に、
一斉に花火が打ち上げられた。
東南アジアのオリンピックとも言われるシーゲームは、ラオスにとって今回が初めての開催となる。
それは、歴史的な一瞬だった。
ビエンチャン郊外にある、中国の援助で造られたラオス国立競技場は、2万人の観衆で満員。
開会式には、シーゲームの50年の歴史の中で初めて、4カ国の首相が参列した。
現在、険悪な関係にあるタイのアピシット首相とカンボジアのフンセン首相も参加。
そして、ベトナム、ミャンマーの首相。さらにスリン、アセアン事務局長が参列。
いかにシーゲームが、東南アジア・インドシナ半島において重要かがこの顔ぶれを見てもわかる。
25種目に、11カ国3038人の選手が参加。
開会式の入場行進は、アルファベット順に、ブルネイ74人、カンボジア214人、インドネシア650人、
マレーシア561人、ミャンマー389人、フィリピン413人、シンガポール413人、タイ816人、
東チモール61人、ベトナム681人。そして最後は、主催国ラオスの選手団。その人数は他国を圧倒した。
開会式は、ラオスの伝統と近代が見事に調和されていた。
圧巻は、8000人によるラオスの伝統舞踊と光と音のパフォーマンス。
夜空に次々と打ち上げられる花火。
8000人がラオスの各民族の伝統衣装に身を包み、7部にわたって次から次へとパフォーマンスを披露。
それは、ラオスの多様な民族、歴史と文化が見事に表現されていた。
この開会式は、ラオスの多彩な文化と、政府・国民の連帯と協力を、各国選手団などに強烈に印象づけた。
開会式のプログラムは、北京オリンピックの開会式を演出したチームによって技術指導されたものだ。
この模様は、国営放送で全国に生中継された。
その間、街から人通りは消え、みんなテレビに釘付けとなった。
開会式に参加した多くのラオス人が、感動の涙を流していたのが印象的だった。
ラオスでのシーゲームの開催は、日本でいうオリンピックの開催と同じような意味を持つという。
日本では東京オリンピックが開催され、戦後からの復興を世界に印象づけた。
今回のシーゲームでは、中国、ベトナム、タイ、韓国、日本の援助で多くの競技場が建設された。
それは、日本でさまざまな競技施設の建設、道路・鉄道・新幹線が整備された時代と重なるのかもしれない。
シーゲーム開会式を見守る人々の、ラオス人としての誇り溢れる顔を見ながら、
ラオスの底力と未来への希望を感じた。
アセアンの中でもスポーツ後進国といわれるラオス。
しかし、今回のシーゲーム開催をきっかけに、国民にとって大切な「ラオス人としての誇り」を
様々な場所で感じることができた。
開会式を見るかぎりラオスの明るい未来を感じた。
これからは、本番の競技でのラオスの健闘ぶりが楽しみである。
(アジア地域ディレクター・八木澤克昌)