2010.12.27
読み物

ジョリートゥーさんとセイラートゥーさん

ラオス

ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の小野です。

年末、仕事納めも近づき、忙しい毎日をお過ごしのことと思います。

さて、私も、ここぞとばかりに、11月から12月にかけて、活動地である全7キャンプを一気に回って来ました!

まず、最初がメラマルアン⇒メラウ⇒メラ、次がタムヒン⇒バンドンヤン、そして最後にウンピアム⇒ヌポ、と3回に分けて出張。

こんなに集中して回るのは少々しんどかったですが、各地の年次会議に全て参加でき、それぞれのキャンプの図書館活動の状況が比較的に概観できたという意味ではとてもよい機会でした。

今日は、そんな中から、最初に訪れたメラマルアンのジョリートゥーさんとセイラートゥーさんのお話をします。

お二人は仲のいいご夫婦ということを、恥ずかしながら今回の旅で知った私。しかも、第三国定住でアメリカに応募しているというので、今のうちにお二人のことを紹介しておこうと思います。

ほっとシャンティ SVAブログ-ジョリートゥーさん

12月2日のメラマルアンの第二図書館を訪れると、いつものジョリートゥーさんの顔。

やさしい笑顔でいつでも私たちを歓迎してくれる彼は、何をかくそう、メラマルアンキャンプの図書館委員長!

セクションリーダーという役職の傍ら、2004年からずっと勤めてくれた彼は、図書館が子どもたちにもたらす

効果をとてもよく理解してくれています。

そんな彼が、年次会議の冒頭でみんなにこう切り出しました。

「私は第三国へ行くことになってしまったから、もう図書館委員長の役職はできなくなってしまいます。」

図書館員や図書館青少年ボランティア(TYV)の状況を知っているのかニコニコ顔。私は「ええっ?こんなところでいきなり辞任のご挨拶?聞いてませんけど!」と少々驚いたのですが、根がまじめなジョリートゥーさん

だけに有り得る発言のようです。

同行したコーディネータのエッソ・スタッフは「まだ応募したばかりでインタビューも受けてないんだから、まだしばらく続けられるわよ」とその場を和ませます。

結局、忙しくなった時にことを考えて委員長補佐が決まり、エッソ・スタッフの意図通り、しばらくは委員長を続けてもらうことになりました。

ちなみに、米国の場合、応募してから半年ほどで出発なので、来年の中旬でしょうか・・・。

さて、午前中にあった年次会議の後、他の図書館施設を視察しました。

メラマルアンには有名な橋があります。手前がメーホンソン県、向こう側がターク県になっており、向こう側には、ジョリートゥーさんの奥さんである、セイラートゥーさんが勤める第三図書館があります。ちなみに彼らの家も近くにあります。

ほっとシャンティ SVAブログ-メラマルアンの橋

橋を渡ってしばらく歩くと、山に囲まれた真ん中に子どもたちでにぎわうグランドがあり、その回りに集落があり、なんだか、桃源郷のような、のどかな場所に到着します。図書館はその一角にあります。

ほっとシャンティ SVAブログ-第三図書館概観

そこで待っていてくれたのがセイラートゥーさん。

「小野さん、訪問者の人たちと何回かここに来ているけど、ゆっくり座って私たちと話すなんてほとんどなかったね」。

エッソ・スタッフも笑いながら通訳してくれましたが、私には結構この言葉はこたえました。

「そうだよね、もっとじっくりとみんなのところを回って図書館員の話に耳を傾けなきゃね」。

ほっとシャンティ SVAブログ-セイラートゥーさん

そんな彼女が今回教えてくれたのが、手にしている「ひろしまのピカ」(文・絵 丸木俊、小峰書店)のこと。

2年前にジャパン・プラット・フォームの支援で購入し、「心の平和構築」事業の一環として私も選書から関わったものですが、実は子どもたちにも人気がある本のひとつとのこと。

絵本選定のねらいとは裏腹に、「戦争の傷あとの残る子どもたちには、返って受けないかもなあ・・・」と内心思っていたモヤモヤが消えた瞬間でした。

「私たち図書館員も積極的にこの本を読み聞かせて、自分たちの体験と合わせて、戦争はけいない、平和がたいせつ、ということを学びたいのです」とセイラートゥーさんは言います。

彼女が図書館員になったのは何と、2001年8月6日。SVAが活動を開始した当時から歴史を知る大ベテラン図書館員です。他にも、子どもたちの好きな絵本をいくつか楽しげに紹介してくれ、これだけ絵本に関して話してくれる図書館員は本当に貴重です。できればずっと残っていてほしいくらい・・・。

4人のお子さんがおられ、男の子の一人は図書館青少年ボランティアのメンバーとして活躍しているジョリートゥーさん、セイラートゥーさんご一家。アメリカ行きはキャンプの図書館活動にとって大きな損失ですが、お子さんたちの将来を考えると・・・ということかも知れません。

別れ際、セイラートゥーさんに「定住先で子どもたちにカレン語やビルマ語の文庫活動をやってみませんか?きっとSVAも支援しますよ!」と言ったらクスクス笑ってました。

きっと、図書館好きな彼らのことだから、もしかしたら文庫活動をほんとにやるかも、とひそかに期待しています。

以上、小野でした。

以下、おまけです。

ほっとシャンティ SVAブログ-エッソ
高いところもぜんぜん平気なエッソ・スタッフ。
ほっとシャンティ SVAブログ-小野

運動不足?橋を渡り終えた小野は足がガクガク。