はたらくぞう
サバイディー(こんにちは)!
ラオス事務所の山室です。
ラオスはだんだんと暑くなってきましたが、美味しいラオス料理のお蔭でバテる気配がありません。
この日の村でのランチは、魚のラープ、川のり、山菜スープ、もち米
さて、話は変わり、ある朝、ルアンパバーン事務所に出勤した職員の会話です。
所長「おはようございます。さっきゾウがいたよ。」
私「おはようございます。私も通勤中に道ですれ違いました。」(そして普段どおりに仕事を始める。)
何気ない会話でしたが、ふと考えると、日本ではありえない内容ですね。
もちろん、しょっちゅうゾウと通勤中にすれ違う訳ではありませんが、考えても見れば、ルアンパバーンには近くに動物園がなく、これまでゾウを見た時は、いずれも場所は道端か水辺でした。
そして先週、事業地のヴィエンカム郡で、今度は働くゾウに出くわしました。
なにやらゾウ使いの指示で、丸太を道路脇に下ろしています。
聞けば、建設などで木材が大量に必要な時に、今でもゾウの力を借りることがあるそうで、道が整備されていない森から丸太を運び出すのには、ゾウは適任だといいます。
ゾウのレンタル料は、移動距離や利用日数などによって変わりますが、日本円にして最低でも7万円以上はかかるようです。
このゾウは90kmほど離れた場所からやってきて、指定された森で数日働いた後、また90kmを歩いて帰路に着きました。
ラオスは以前、「百万頭のゾウの国」という国名だったほど、ゾウはこの国を象徴する動物で、特別な存在です。
しかし、その数は年々深刻なまでに減ってきており、現在およそ900頭とのこと。
聞いた話によれば、1年間で生まれるゾウは2頭で、亡くなるのは11頭・・・。
このペースでの減少は、絶滅の恐れがあります。
(ちなみに現在、繁殖プロジェクトとして京都の動物園に4頭のゾウがラオスから寄贈されています。)
絶滅の恐れがあると言われるなかで、また、開発の名の下で自然環境が脅かされているラオスにおいて、働き手として森の中で頑張っている現役のゾウがいることを誇らしく思いました。
また、「失ってはいけない何か」を感じざるを得ませんでした。
そして、これまで共存してきた文化、自然環境の大切さを、一人ひとりが自分の暮らしに照らし合わせて理解することが、この地では重要だと思いました。