ラオス・美しき多様性
サバイディー(こんにちは)。ラオス事務所の山室です。
ラオス事務所には今、ラオ族、モン族、カム族、ルー族、ニュアン族の職員がいます。
そこに日本人も含めると、6民族。さすが多民族国家ラオス、面白いです。
ラオス・ルアンパバーン事務所の職員たち
普段の会話では、民族に特化した話ばかりをしている訳ではありませんが、時々、一つの出来事に対して、それぞれの地元ではどうなのか?と話に花が咲きます。
例えば冠婚葬祭。
親族の誰かが亡くなったとき、共通していることは、親族が全員集まるまで待つこと。
どんな遠くにいても駆けつけます。
あと、ご近所さんたちを含めた互助関係がすばらしいこと。
先日、いつもお世話になっている教育行政官のお父様が亡くなられ、弔問に伺った際、ご自宅のある村の方々が総出で、弔問者用のテントや食事を準備していたりして手伝っていました。都市部出身の私はその光景に感動すら覚えるほどでした。
続いて、違いについて。
こちらはラオ族のお棺。お棺を綺麗に装飾するのが特徴的です。
この写真のご遺族は、あの世でも困らないようにとラオスの昔の紙幣を貼って弔っていました。
カム族の葬儀の様子が描写された2014年度出版絵本「ヤアンラーンのおはなし」
カム族の場合、お棺の形はシンプルな長方形なのだとか。
カム族の職員曰く、葬儀後に森に行って自分たちで掘った穴にお棺を入れるため、掘る分を考えてできるだけコンパクトになったのだろう、とのこと。
モン族の場合、ご遺体はお棺には入れずに吊るして、葬儀後は麻袋に包んで棒に結んで、遺族がその棒を肩に担いで森に行って埋葬するとのこと。田舎のモン族の知人に聞きました。
また、宗教が仏教やアニミズムなど民族によって違うので、お寺に入って剃髪したり、自宅に僧侶を呼んだり、イタコを呼んで天と交信したり…。
また、ある地方では葬儀の最後にココナッツ水を故人の手に注いだり、また南部のある民族は故人を明るく送り出すために泣くことを禁じていたりと、そのスタイルも様々なようです。もちろん都市と地方でも違います。
そんな他民族国家のラオスでは「共存」という言葉がしっくりくるように感じます。
私の経験上、○○族だから…、△△族だから…、と区別や差別をして話すことは殆どありません。
むしろ、○○族では…、△△族では…、と紹介するように話すことばかりです。
過去の歴史を踏まえて他の民族について心の底で思うこともあった、と年配の方は言っていましたが、今は今、未来にとって何が大切かを考えたら自ずと互いを認め合って尊敬するようになるんだよね、とも言っていました。
シャンティの大先輩がいつか言っていた「美しき多様性」という言葉が思い起こされます。
文化や習慣が同じ事柄もあれば違う事柄もあり、でもそれぞれラオスの誇りをみんなが持っていて、そのひとつひとつがなんだか愛おしいです。
今の世界情勢を考えるときに必要な視点は何か、ラオスの人たちからヒントをもらった気がします。
この子どもたちの未来はどんな世界になるでしょうか?
その土台を作るのは誰でしょうか?
私たちはどう関わっているのでしょうか?
このブログを読んでくださったあなたはどのように感じますか?
ラオス事務所 山室仁子