カンボジア「シャンティ」の昔と今
2021年の今年は、シャンティがカンボジアに事務所を開設して30年目になります。本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.301(2019年夏号)」の内容を元に再編集して掲載しております。
20年にわたる内戦によって傷ついたカンボジアの教育文化の復興を支援するため、シャンティは1991年3月にプノンペンに事務所を開設し、人材育成、印刷出版、図書館活動を開始しました。近年は教育・文化支援活動や、公立幼稚園における幼児教育の質の改善などに取り組んでいます。
小学校での図書館活動(1994年)
シャンティの教育活動の広がり
1993年、図書館活動立ち上げ調査時、40校余りの小学校で読み聞かせを行いました。この時、聞き入る生徒の様子に感動した学校の先生が、「私の学校で読み聞かせをしたい」と声を上げました。先生が変われば生徒、そして学校が変わる。変化を聞いた周辺の学校がこの先生に頼み、自転車に絵本を積んだ巡回図書館活動が始まりました。1つの小学校から周りの地域、州全体、さらに隣の州へ。やがて教育省から、全国の小学校に図書館活動を広める方針が打ち出されるまでになりました。このように始まった活動は、公立小学校からスラム、地方の寺院、生涯教育の拠点としてのコミュニティー図書館、そして幼児教育の質の改善事業へと広がっています。
バッタンバン州での学校建設(1992年)
学校建設活動は国内の戦争避難民20万人、国境の帰還難民36万人の支援事業として開始。まだ地雷除去も始まっていない数千人が暮らす村にニッパヤシでできた小さな小屋の小学校を建て替え。1992年に木造2棟、10教室の校舎が完成。これを契機にあちこちの村人から学校建設の直訴を受けるようになり、住民参加の学校建設活動が広がってゆきました。
文筆 手束耕治
幼児教育事業での絵本の読み聞かせ(2015年)「おおきなかぶ」〈福音館書店〉
コミュニティ図書館事業での夜間識字教室(2017年)
建設したコンポントム州のコミュニティ図書館(2017年)
※ニュースレター『シャンティ』は、シャンティの会員やアジアの図書館サポーターの皆さま最新号を郵送でお届けしています。
シャンティは、子どもたちへ学びの場を届け、必要としている人たちへ教育文化支援を届けています。引き続き、必要な人へ必要な支援を届けられるよう、月々1,000円から継続的に寄付してくださる「アジアの図書館サポーター」を募集しています。