本の力が私に夢を与えてくれました
シャンティは、1996年から子どもたちのための総合施設 「子どもの家」の運営を支援してきました。 「子どもの家」に通う子どもたちの中でも、スニターさんは歌や踊りが上手で、 絵本の読み聞かせもでき、みんなのリーダー格でした。
恥ずかしがり屋だった女の子にとって「子どもの家」は第二の我が家
今、私はラオスでニュースキャスター、ジャーナリスト、そして子ども番組の司会者としてメディアで働いています。大の“恥ずかしがり屋”だった私が、人前で話す仕事を志すようになったのは、「子どもの家」で本と出合ったことが、きっかけでした。
「子どもの家」は、1996年7月、全日本自治団体労働組合(自治労)の創立40周年記念事業として、ラオスの子どもたちに自国の文化を学び、誇りを持ってもらおうと開館されました。ラオス情報文化省が運営し、シャンティが運営協力を行ってきました。わずかな会費で図書館を利用できるほか、舞踊や楽器、日本語などの講座を自由に受講できるんですよ。小・中学生を中心に、毎週500人近くの子どもたちが利用していました。
私はラオスのビエンチャンで育ちました。幼い頃に両親が離婚しました。最初は寂しさを紛らわせるため、小学5年生の時に、初めて「子どもの家」を訪れました。母親からは「子どもの家」には、行っちゃいけないと言われた時期もありました。その時も母の目を盗んでは、こっそり通っていました。そんな時も、「子どもの家」のみんなは、家族のように接してくれました。
図書館は本を読めるだけの場所ではない
「子どもの家」にある図書館の本は、家に持ち帰れるし、友だちもできたし、楽しい行事がたくさんありました。そんな図書館の魅力に引かれ、足しげく通う私が、もっとも心引ひかれたのは、図書館の先生による読み聞かせでした。やがて自分自身が読み聞かせをするようになり、本を読む力だけでなく、話をする力も身に付いていきました。
図書館は本を読めるだけでなく、さまざまな行事や活動など、人々の生活をよりよい方向に変える、子どもの才能を掘り起こすものがたくさんそろっています。アナウンサー、レポーターそしてラジオのDJにさえなれると私に教えてくれたのは、ほかでもない図書館でした。
テレビの仕事もやりたいけど、本当にやりたいこと
現在、私はラオスの国営テレビ局のアナウンサーとしてニュース原稿を読んだり、子ども番組の司会などをしています。テレビキャスターの仕事だけでなく、DJとして10代の若者たちにメッセージを届けたり、ラオスの伝統料理を紹介する番組のレポーターの仕事も精力的にこなしています。
テレビの仕事もやりたいけど、本当にやりたいことは、子どもや青少年に関わる仕事なんです。だから一番の夢は、「子どもの家」の所長になることなんですよ。
本が私に夢を与えてくれた
私は、本には人々の生活をより良い方向に変える大きな力があると信じています。図書館には子どもたちが生きていく上で必要なスキルを授け、子どもたちの能力を掘り起こす、さまざまな絵本や行事、活動がそろっているからです。実際、私の場合、本が大きな夢を与えてくれました。
2016年12月、シャンティの設立35周年記念イベントのため来日した際、舞踊を披露
図書館との出合いのおかげで、私はアナウンサーやレポーターの仕事につくことができました。図書館は私に多くの出会いと知識を与えてくれました。私の人生に素晴らしい機会を授けてくれて本当にありがたく思っています。