2024.07.05
お寺の取り組み

カンボジアスタディツアー体験記③

スタディツアー
参加者の声


バンアンピル小学校の子どもたちと記念撮影

昨年12月18日から4泊6日で、カンボジアでスタディツアーを開催しました。7名の僧侶の方にご参加いただき、カンボジアの僧侶が社会とどう関わっているのか、社会平和の実現に向けてどのような活動を行っているのか、寺院での交流や宿泊を通して、仏教の役割について共に考えてきました。参加された方の中から3名にツアーで感じたことや学びを紹介していただいています。3人目は長野県松本市 曹洞宗瑞松寺副住職の國分昌広さんです。

プロフィール

國分昌広
長野県松本市 瑞松寺副住職
愛知県半田市出身。愛知学院大学卒業後、大本山永平寺安居(修行)。送行後(修行を終えて)、師寮寺(師匠のお寺)の檀務(お寺でのお務め)の傍ら、一般職での勤務や、子どもたちにスポーツを指導する。法幢師(師匠の一人)からのご縁で、現在は長野県松本市瑞松寺の副住職を務めている。

「シャンティカンボジアスタディツアーに参加して」

この度、初めてシャンティスタディツアーに参加させていただきました。このツアーでは、カンボジアの僧侶の在り方、カンボジア仏教を肌で感じ、現地の人々と交流をしたいと思い参加を決めました。今回のツアーが初めての参加で、私の人生で初めての海外でもあり、それがカンボジアということで期待と不安が多くありました。そんな中、ツアーに参加した皆様、シャンティスタッフの皆様のおかげで、とても安心してツアーに参加することができました。

いよいよ成田空港を出発し、ベトナムのホーチミンで乗り継ぎ、カンボジアのシェムリアップ・アンコール国際空港に到着しました。去年の10月にできたきれいな空港で、私のカンボジア、シェムリアップのイメージとは全く異なりました。
シェムリアップという町の文化の一つであるオールドマーケットは、現地の人たちの買い物はもちろんのこと、観光客がお土産を買う場所としても利用する市場です。生産者支援も行っており孤児院との結びつきも強く、購入することで支援につながるという側面もあります。また、カンボジアの食文化は基本一日三食が当たり前で、おいしい食べ物が多く、過食してしまうことで、最近では糖尿病が社会的問題になっているといわれています。

さて、私が今回のツアーで一番印象に残っているのは、4日目の午前中に訪問したバッタンバンのバンアンピル小学校です。この小学校があるバンアンピル村は内戦時代、ポル・ポト派の解放区に近く、周辺には地雷が沢山埋まっていたそうです。元々、この人口数千人の村には、ニッパヤシでできた小さな小屋の小学校が一校あるだけでした。そこで、1992年にサンタピアップみやぎボランティア会(宮城県曹洞宗青年会主管)様と、文京ライオンズクラブ様のご支援で、木造2棟の10教室の校舎が建てられました。

バンアンピル小学校の子どもたちとサッカーをする様子

小学校に到着し歓迎を受けた後は、子どもたちと一緒に縄跳びやサッカー、バレー、絵本の読み聞かせ、折り紙などで交流をしました。とりわけ、大きな石や砂利で荒れたグラウンドで、みんな裸足でボールを追いかける姿には驚愕しました。私たちが日本で当たり前にできていることが、国が変わればできなくなり、当たり前ではなくなってしまう。その中でも現地の子どもたちのあの無垢な笑顔は一生忘れることはありません。それを体で感じ、今、私たちにできることは何かをあらためて考えさせられました。

その日の午後は、Hope Of Children(HOC)という、児童養護施設であり職業訓練や教育支援を行うNGOの皆様と交流しました。HOCは、僧侶ムニー・ヴァンサヴェス師によって設立され、家庭内暴力の被害を受けた子どもたちや、貧しく学校へ行けない子どもたちを受け入れている団体です。HOCは衣食住や教育等を提供し、また未来に役立つ技術を教えることで、子どもたちが社会で自立的に生活ができる様にすることを目指して活動しています。現代表のムニー・ワンソヴェート師は仏教を通して国を平和にし、並行して子どもたちに自立心を芽生えさせ、自分たちで生きていくにはどうしたら良いかを強く語っていました。


子どもたちと笑顔でお別れ

今回のツアーでは、カンボジア国内でも有数の瞑想寺院での宿泊や生活を経験し、現地の僧侶や在家修行者の皆様、寺院を支える信徒の皆様と、沢山の方々と交流しました。上座部・大乗という違い以上に、仏教という共通の信仰を通し私たちを歓迎してくれました。
人の祈り、気持ちは国境を越えることを学んだとともに、日本に戻った今、それをどのような形で表すか。檀務の中でも相手の目線になってお話をし、寄り添うこと、それがまずは第一ではないのかなと思います。
取り留めの無い文面となってしまい失礼いたしました。ご拝読いただきまして、ありがとうございました。


HOCのムニー・ワンソヴェート師(右)と子どもたちと記念撮影

このスタディツアーの行程や募集内容などは、こちらからご確認いただけます。
今後もスタディツアーの開催を予定してまいりますので、ご関心のある方は奮ってお問い合わせいただけますと幸いです。

広報・リレーションズ課 日比洸紹
メール:hibi@sva.or.jp

 

<写真の絵本>

赤ちゃんとママ社
『おふねに のって』著者:スギヤマカナヨ

偕成社
『はらぺこあおむし』作:エリック=カール 訳:もりひさし

教育画劇
『ふたごのまるまるちゃん』文:犬飼由美枝 絵:やべみつのり

金の星社
『まちのねずみと いなかのねずみ』原作:イソップ 文絵:いもとようこ

佼成出版社
『ひとりじめ』文:本間正樹 絵:いもとようこ
『なにをたべてきたの?』文:岸田衿子 絵:長野博一

小峰書店
『きょうりゅうのおやすみなさい』文:ジェイン・ヨーレン 絵:マーク・ティーグ 訳:なかがわちひろ

童心社
『おつきさま ひとつずつ』作:長野ヒデ子
『りんごがひとつ』作:いわむらかずお

白泉社
『かぞえてみよう』著者:さかざきちはる

ひさかたチャイルド
『でんしゃでいこう』作・絵:間瀬なおかた

福音館書店
『あなたのいえ わたしのいえ』作:加古里子
『たまごのあかちゃん』文:かんざわとしこ 絵:やぎゅうけんいちろう
『やさい』作:平山和子
『木』画:佐藤忠良 文:木島始
『どうやってねるのかな』作:薮内正幸
『じゃぐちをあけると』作:しんぐうすすむ
『もうちょっと もうちょっと』文:きむらゆういち 絵:高畠純
『きんぎょがにげた』作:五味太郎
『そらいろのたね』作:中川李枝子 絵:大村百合子

(出版社五十音順)