2026年度「絵本を届ける運動」の選書会を開催しました
みなさま、こんにちは。
「絵本を届ける運動」担当です。
先日1月6日に、2026年度「絵本を届ける運動」の選書会を開催しました。「絵本を届ける運動」はさまざまなプロセスから成り立っている活動なのですが、そのうちのひとつに絵本の選書というプロセスがあります。その名の通り、活動地の子どもたちに届ける絵本を選ぶ工程です。以前はシャンティの職員だけで選書を行っていましたが、近年は本の専門家である図書館員の皆さんと一緒に選書会を開催し、客観的な意見をいただきながら子どもたちに届ける絵本を選んでいます。
【選書のプロセス】
子どもたちに届ける絵本は毎年タイトルの入れ替えを行っています。(ラオスとカンボジア向けは2年に一度)
選書のプロセスですが、まず初めにシャンティの活動地事務所職員より、希望のテーマリストと絵本を届ける子どもたちの対象年齢が送られてきます。
例えば、幼児向けに恐竜がでてくる絵本が欲しいや、高学年向けに伝記の絵本が欲しいなどです。活動地から上がってくるテーマは、これまで届けた絵本の中でも特に人気だったものや、今の子どもたちが必要としているもの、子どもたちに伝えたい思いが込められたものなど、その時々の状況に合わせて活動地事務所職員が厳選しています。そのテーマを東京事務所職員が取り纏め、図書館員の皆さんに共有します。
そして有志で集まっていただく図書館員の皆さんより、選書会にて絵本を提案いただき、東京事務所側で「絵本候補リスト」を作っていきます。
最終的に「絵本候補リスト」の中から活動地事務所職員が、子どもたちに届けたい絵本を選び、その年に使用する絵本が確定します。
【2026年度「絵本を届ける運動」絵本選書会】
2026年度「絵本を届ける運動」の絵本選書会は年明け1月6日に開催しました。
[写真]おすすめ絵本を紹介する新宿区立こども図書館の図書館員さん。一冊一冊テーマや絵本のあらすじを紹介いただきます
今回の選書会では、ミャンマー、ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ、ラオス向けの絵本を選びました。
2026年度は活動地からの希望として、「きもちを考える絵本」や、「おばけがでてくる絵本」、「さまざまな文化に触れることができる絵本」といったテーマがあがってきました。
選書会には、6名の図書館員さんに集まっていただき、合わせて100冊以上のおすすめ絵本を提案いただきました。
児童担当の図書館員さんも何名か参加いただき、日ごろどのような視点で子どもたちが絵本を楽しんでいるかなど、日々子どもたちに読み聞かせをする中での経験を踏まえながら絵本を紹介いただきました。
どれもとても素敵な絵本なのですが、最終的に選ばれる絵本のタイトル数は毎年20冊から30冊ほど。冊数的にも全てを現地へ提案することは難しく、この中から活動地へ提案する絵本を絞っていきます。
ここでのポイントは、絵本の内容はもちろんのこと、「絵本を届ける運動」にて使用する絵本として適しているかといった視点から、例えば活動地の言葉に翻訳しにくいオノマトペが多用されていないか、活動地の子どもたちも理解しやすい内容であるか(日本特有の内容が含まれていないか)、翻訳シールを貼るのに適しているか、などといった点もふまえて選書しました。
内容自体はとても良いのですが、翻訳シールを貼ることで、作品の絵や世界観を壊してしまうといった理由から、泣く泣く選書から外す絵本もあります。
また日本の子どもたちには身近な生き物でも、活動地の子どもたちには馴染みがなく、その生き物の特徴を知らないと絵本の内容が理解できないため、除外したものもありました。
このようなプロセスを経て、半分ほどまで絵本を絞り込み、2026年度の選書会が無事終了しました。
[写真]図書館員さんにおすすめいただいた絵本の一部。日常や気持ち、食べ物をテーマにした絵本やラオスの民話など。
『だいじょうぶだいじょうぶ』講談社、『かたつむりとさる』福音館書店、『サンドイッチ サンドイッチ』福音館書店、『くんちゃんはおおいそがし』ペンギン社
この後は「絵本候補リスト」にあがった絵本一冊一冊につき、出版社さんへ使用の許可や在庫状況の確認をし、活動地事務所職員へ「絵本候補リスト」を送り、春から初夏ごろには2026年度「絵本を届ける運動」にて使用する絵本が確定する予定です。
選書会を振り返ると、選書のプロセスひとつにおいても、たくさんの方々の協力があってこそ成り立っている活動であることを改めて実感します。
「絵本を届ける運動」に参加いただくみなさまにもそれぞれの絵本がどのようにして選ばれているかを知っていただくことで、翻訳絵本づくりにより親しみを感じていただけると嬉しく思います。
「絵本を届ける運動」担当