「絵本を届ける運動」インターンシップ体験を経て
こんにちは。今年の冬に約1か月間、シャンティ国際ボランティア会の「絵本を届ける運動」インターンシップに参加いたしました、和田と申します。
今回は、本インターンシップを通じ、多くの教育文化支援に携わらせていただいた経験を、ブログを通してお伝えしたいと思います。是非、本ブログを通し、より多くの方が「絵本を届ける運動」に関心を持っていただけますことを願っています。
「世界」を知り、「学び」に対する好奇心を
まず、私がシャンティ国際ボランティア会でのインターンシップに応募した理由は、教育格差を解消し、子ども達が自分自身のやりたいことを自由に選択できるような世界を創りたいと強く思ったからです。また、広い視野を持って「世界」を知り、「学び」に対する好奇心を持って、世界を旅するような体験をして欲しいと思いました。大学の授業では、教育格差やアジアにおける教育の現状について学び、日本では当たり前に存在する、義務教育制度の導入が難しい国や地域があるということに衝撃を受けました。その中で、まだ社会経験が少ない大学生の私に、一体何ができるのだろうと必死に考え始めました。その時、大学の授業でシャンティ国際ボランティア会の「絵本を届ける運動」という活動があることを知り、本活動に強い興味を持ちました。この活動なら私でも何か協力できることができるのではないかと思い、今年の夏にボランティアとして参加し、翻訳絵本を作成しました。そして、「本と共に、想いを届ける」という素敵な経験から、これまで以上に「絵本を届ける運動」に惹かれ、どのような過程を経てアジアの子ども達の元へと旅立つのだろう、皆さまはどのような想いを持ってこの活動に参加しているのだろうなどと思い、本インターンシップへの参加を決めました。
本とともに「想い」を届ける—絵本の運び出しを経て
私は、2025年2月3日に行われた2024年度の翻訳絵本の運び出しに参加させていただきました。その中には2024年夏に私自身が翻訳した絵本も含まれていたので、言葉にできないほど感慨深かったです。何冊も翻訳絵本が詰まっている段ボールを全員で息を合わせて運んでいる中で、私はただ「荷物」を運んでいるのではないと確信していました。そこに込められているのは、人々の願いや支援への想い、そして未来への希望だったからです。自分も含めた多くの人が自身の手で翻訳絵本を作成し、一冊一冊に想いを込めた絵本が、今まさに必要としている子ども達の元へ向かう。その瞬間、自分の中で「絵本を届ける」という活動の意味がより鮮明になった様に感じました。そして、絵本でいっぱいになったトラックを見た時、そこには誰かの未来を照らす一冊があるのだなと想像し、非常に胸が熱くなりました。この運び出しに参加できたことは、私にとって大きな意味がありましたし、これからも「人の為に頑張りたい」と、何かしらの形で教育・文化支援に携わっていきたいなと強く思えるきっかけにもなりました。「本とともに、想いを届ける」、この経験は私の中で生き続けると思います。
2024年度絵本の運び出しの様子(2025/02/03)
インターンシップでの活動を経て
本活動に参加させていただいていた中で、最も感銘を受けたことがありました。それは、「想いと共に翻訳シールを貼り、想いと共に届ける」ということです。業務内容としては、絵本の落丁・乱丁の確認や、絵本に名前シール・QRコードなどを貼り付ける作業といった、細かい作業が非常に多くあり、ただこなすことに没頭してしまいがちなのではないかと思いました。しかし、その中で、私は何も考えずに業務に取り組んでいた時間はありませんでした。倉庫から絵本を運び出す時、本の中身を確認している時、書類をまとめている時、ずっと心の中で、アジアの子ども達が私達が届けた絵本と共に笑っている姿を想像していました。このように、住んでいる地域は違っていても、心の中では常に繋がっているということを直に体験でき、「絵本を届ける運動」は、本当に素敵な運動だなとあらためて認識することができました。
さらに、「絵本を届ける運動」というものの概要を見た時、翻訳シールを切って絵本に貼るだけのただの「作業」なのではないかと思われる方も少なくないと思います。しかし、実際にボランティアとしても、インターンシップとしても参加した経験から、行っているすべてのことがただの「作業」なのではなく、現地の子ども達が私達によって作られた絵本を手に取るまでの一連のプロセスの中で活きており、その過程で「想い」を繋げ、届けるという素敵な感情が込められているものであるということを強く実感しました。地道で細かい作業のおかげで、絵本が受け取る人達にとってより価値のあるものになるし、安心感を持って円滑に学習を進められるのだろうと考えると、この翻訳絵本づくりの意義というものが感じられ、絵本によって提供できる学びや夢、笑顔を絶やすことなく届けたいなと心から思いました。
また、「絵本を届ける運動」に関する資料を作成する際にも大きな学びがありました。業務の中で、資料を約500枚印刷し、さらにそれらを1枚3分割にカットするという作業がありました。約500枚という数が目の前に積まれると圧倒されるものがあり、すべて終わらせることに非常に大きな労力を費やしました。そこで私は、普段何気なく手に取る資料や当たり前に目にする資料も、このようにして誰かが手作業などで作成しているのだと思うと、細かな仕事の積み重ねが支えているものの大きさへの理解が込み上げられてきました。この世の中に存在するものはすべて、誰かの熱い想いや強い願い、素敵な希望などが込められているのだなと認識しました。そのため、今後出会うものや人、全方向に誠実に向き合い、感謝していきたいと思いました。また、より細かな作業と向き合い、積み重ねた時間と労力すべてが未来へと繋がっていることを信じられる時間でもあったため、大変さ以上に収穫できるものが多かったと感じました。
さらに、約1か月間のインターンシップでの経験を通じ、自分の強みや弱みを知れたと同時に、社会人として大きく一歩、成長できたように感じます。今のうちからさまざまなことに挑戦し、世界の色々な側面を見つけていきたいと強く思いました。
絵本で体験する世界探検
絵本は単なる紙の束ではありません。そこには物語があり、夢や学び、気付きがあります。そして、それを届ける人々の想いが詰まっています。本を受け取る子ども達は、そこから新しい世界を知り、大きな夢に向かって踏み出すきっかけを得られ、素敵な未来を描くことができるのではないかと思います。さらに、将来の夢などといった大きな目標が定まると、向上心が高まり、目標に向けた着実な努力ができるようになります。そしてその行動すべては、自己成長を促し、自分自身を認め、自分自身を好きになるきっかけにもなります。ページをめくるごとに夢や希望が広がっていく感覚を、子ども達と一緒に体験してみませんか。そして、自分の好きなもの、大切なもの、なりたい夢を思い描けたら、とても素敵だと思います。
絵本を届ける運動
シャンティ国際ボランティア会は「絵本を届ける運動」を通して、子ども達に日本から翻訳絵本を届ける活動を実施しています。また、支援先に合ったテーマの絵本を選定し、より教育の質を高めることを目標としています。現地のスタッフとも直接英語でコミュニケーションを取り、その地域の情勢や流行に合うような絵本を一緒に厳選すると共に、現地での指導教員の育成なども行っています。そして、最終的には支援なしで、自分達だけで困難を解決していくことのできる形を目指します。
絵本が子どもに与える「気付き」や「学び」は一生涯大切なものとなっていきます。子どもの頃に読んだ絵本から、今でも鮮明に覚えていることがある人も多いのではないでしょうか。また、私は今でも「知る」「学ぶ」ことに対して、非常に多くのワクワク感や、世界が広がったような高揚感を抱いています。このような感情は、人生において忘れてはいけない非常に重要で価値のあるものであると感じます。
また、シャンティ国際ボランティア会が推進する「絵本を届ける運動」という支援の形は、一度本を届けただけで、一生分の支援が可能になります。なぜなら、絵本はなくならないからです。どれでだけ読んでも、どれだけ遠くに運んでも、なくなりません。このような絵本の魅力を通じ、世界に教育の機会を広げていく運動が、「絵本を届ける運動」です。
ご興味のある方は是非、以下からお申込みをお待ちしております。
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そして是非、今後順次掲載される、【インターンが選ぶおすすめ絵本①②③④】というブログも覗いてみてくださると幸いです。インターンシップを通して出会った、素敵な絵本の数々を紹介していきます。
最後になりますが、約1か月のインターンシップを通し、多くの国際協力に関わることに携わらせていただいたこと、社会人としての振舞い方などを含め、たくさんのことをご教示いただいたこと、心より感謝申し上げます。シャンティ国際ボランティア会の皆様、関係者の方々、本当にありがとうございました。これからも多くの方に愛されるシャンティ国際ボランティア会の、益々のご活躍をお祈り申し上げます。
絵本を届ける運動インターン 和田
写真の絵本
『ワンガリの平和の木』作:ジャネット・ウィンター、訳:福本友美子 BL出版
『ハリネズミと金貨』作:ウラジミール・オルロフ、絵:ヴァレンチン・オリシヴァング、文:田中潔 偕成社
『きょうせんそうがはじまると』作:藤代勇人、絵:塚本やすし ニコモ
『ぼくとクッキーのなかなおり』作・絵:かさい まり ひさかたチャイルド
『わたしの』作:三浦太郎 こぐま社
『知ってびっくり!歯のひみつがわかる絵本 2. じょうずな歯みがき』文:楠章子、絵:ながつか えつこ、監修:大西陽一郎 くもん出版
『かなしみがやってきたらきみは』 作:エヴァ・イーランド、訳:いとうひろみ ほるぷ出版
『おおきくなったら、なんになる?』 著:刀根里衣 NHK出版