2024.08.03
絵本を届ける運動

【翻訳絵本づくりワークショップ開催報告】文学のまち・岡山市の小中学生の皆さまにつくっていただきました

参加者の声
絵本
講演・ワークショップ

2024年7月7日(日)に、岡山市文学賞運営委員会主催による「絵本を届ける運動」翻訳絵本づくりワークショップが、岡山県立図書館で開催されました。

 

岡山市でのワークショップは、今年で2回目になります。7日は、午前と午後にそれぞれ開催し、合計で80人ほどの子どもたちが参加しました。定員上限80名に対し、230人ほどの応募があり、参加できるかどうかは抽選で決まったそうです。ワークショップの人気に、とても心強く感じます。

翻訳絵本作成の様子

 

この日の岡山市の天候は晴れ、最高気温は35.6度になりました。暑い日でしたが、午前と午後のワークショップ共に、会場の席が埋まるほどたくさんの子どもたち、ご家族や保護者の方たちにお集まりいただきました。ワークショップに参加してくれたのは、市内の小中学生、保護者の方たちです。小学3年生以下の子どもたちには、保護者の方と一緒に翻訳絵本をつくっていただきました。

 

まず、私からシャンティの活動について紹介し、翻訳絵本が届く先の国や地域での子どもたちの様子についてお話ししました。シャンティがこれまでに40万冊の絵本を届けてきたことを説明しました。

シャンティの活動についての紹介

 

学校に通えず、文字が読めないとどうなるかクイズをしながらお話ししました。続いて、シャンティが子ども向けに作成したミャンマー(ビルマ)難民キャンプの映像を見てもらいました。難民キャンプで暮らす小学生の男の子が図書館でどのように絵本を読んでいるかを紹介している映像です。難民キャンプが設立された背景や、囲われていて外に出られない難民キャンプの生活について、知っていただけたように思います。

 

次は、いよいよ翻訳絵本づくりを行います。

まず、翻訳絵本のつくり方を説明し、つくってもらう翻訳絵本がどのように現地の子どもたちの元に届くか説明しました。

翻訳絵本作成の様子

 

子どもたちには、あらかじめ好きな絵本のタイトルが置いてある机に座ってもらっています。まずは、絵本を読んでもらいました。絵本を読み終わったら、翻訳絵本づくりを開始していただきました。

翻訳絵本作成の様子

 

最初に切り取る翻訳シールは表紙のタイトル部分になります。黒い枠線が残らないように慎重にハサミで切り取り、日本語の上に翻訳シールをあてて貼り付けてもらいました。翻訳シールを切る係と、翻訳シールを貼り付ける係に分担して作業してくれる親子もたくさん見かけました。

翻訳絵本作成の様子

 

全ての翻訳シールを貼り終えたら、翻訳絵本の裏表紙にあるお名前シールに、日本語と現地の言葉で自分の名前をサインしてもらいました。「ラオス語は風になびいているみたい」、「ビルマ語は泡泡のよう」など、参加した子どもたちが文字の形の感想を話してくれました。丁寧にサインしてくれました。

翻訳絵本作成の様子

 

子どもたちは「できました!」と言って完成した翻訳絵本を持ってきてくれました。つくっていただいた御礼を伝えながら翻訳絵本を受け取り、ボランティア参加証明証をお渡ししました。

ボランティア参加証明書のお渡し

ボランティア参加証明書のお渡し

岡山市では、「文学による心豊かなまちづくり」が進められています。2023年に岡山市は「ユネスコ創造都市ネットワーク」文学分野で加盟都市に認定されました。この小中学生を対象とした翻訳絵本づくりワークショップは、国際協力の一環として岡山市文学賞運営員会が企画、参加費を助成し、市内の子どもたちに国際協力の機会を提供しています。

 

参加した方からいただいた感想をご紹介いたします。

 

子どもの声

「やっぱり本は大切なんだなと思いました。難民の方や本を読んだ事がない人に翻訳絵本をこれからも作って届けて、字を覚える助けになったり、笑顔になったりしてほしいと思いました。」

 

「きるのやはるのがむずかしかったけど、これが本がよめてないこたちにわたるとなるんだったら、やるゆうきがでた。」

 

「アジアのお友だちのためになれてうれしかった。トーくんみたいな子たち、絵本がすきなこにみてもらえるんだと考えたら、ためになれて、いつもはふだんためになれないことを今日ためになれてすごくうれしい。」

 

「このえ本を世界の人々に通すことで、その地いきの人に、安心したきょう育ができることが分かりました。世界には学校に行く機会が少なく、字がよめない子どもが、大人がいるのを知って、できるだけ多くの本を届けたいなと思いました。」

 

「シールをはるのがたのしかったです。お手つだいができて、うれしかったです。」

 

「自分が、ほんやくシールを本にはることで、外国の本が好きな子どもたちにも喜んでもらえると思うと、なんだか自分までうれしい気持ちになり、やる気がたくさんわいてきました。本当にとてもきちょうなたいけんができてよかったと思います。」

 

「自分で作ったものがちがう国の人に読んでもらえるのでうれしいし、できれば紙がやぶれないようにしてほしいし、もっと世界じゅうの人に本を読むのが好きになってくれたらなと思いました。みんながせん争をしなくなってほしいし、しなくなればみんなが安全にへいわにいのちをとられずにすんで行けるなと思ったし、もっともっと自分たちのできることをしてみんなで協力していきたいなと思いました。」

翻訳絵本作成の様子

 

保護者の声

「難民キャンプの存在や、子どもたちのおかれている状況を知り、絵本の大切さ、すばらしさを改めて感じることができました。今後もこの活動には参加していきたいと思いました。難民キャンプの子どもたちが、絵本を読み、笑顔になってくれる事を願っています。」

 

「文字が読める事の大切さを、クイズを通して子どもにわかりやすく伝えてもらえてとても良かったです。我が子も本からたくさんの事を学び、生きる活力をもらっています。生きる事がツラかった時期も本に助けられました。世界の子どもたちにも平等に本との出会いがおとずれる事を願ってます。」

 

「約1年後に世界にこの本が届くと思うと、すごくワクワクします。この様なことでお手伝いが出来てすごく良かったです。ラオス語はとってもむずかしいです。」

翻訳絵本作成の様子

 

あたたかいご感想をお寄せいただき、ありがとうございました!

 

今回つくっていただいた絵本は、下記の6タイトルです。来年2月に、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ミャンマー(ビルマ)難民キャンプに向けて、日本を出発する予定です。

 

『おふねに のって』著者:スギヤマカナヨ 赤ちゃんとママ社

『かぞえてみよう』著者:さかざきちはる 白泉社

『こねこが』著者:まつおかたつひで めくるむ

『たいそうするよ-1, 2, 3, はい!-』作・装丁:高畠 純 光村教育図書

『たまごのあかちゃん』ぶん:かんざわ としこ、え:やぎゅう げんいちろう 福音館書店

『やっぱりおおかみ』作・絵:佐々木マキ 福音館書店

 

絵本を通して、アジアの子どもたちとのつながりを感じていただいたように思いました。

今年もたくさんの小中学生の皆さま、保護者の皆さまにご参加いただき、ありがとうございました。

 

(広報・リレーションズ課 吉田)

 

 

今年の夏休みの自由研究は、何に取り組みますか。

 

「絵本を届ける運動」では引き続き皆さまからのお申込みhttps://ehontodokeru.shop-pro.jp/)を受け付けております。

ご家族で翻訳絵本づくりにご参加ください!