「文字の読み書きができるようになって、世界が変わった」
みなさま、こんにちは。カンボジア事務所の萩原です。
コミュニティ学習センター(CLC)の利用者の皆さん、識字教室参加者の皆さん、館長さん、図書館員の方から、とてもうれしい声が届いたのでご紹介します。
ルッ・ソパリン 12歳 コークバラン集合村CLC 利用者
私が通っている学校にも図書室はあるのですが、いつ行っても閉館なうえに、本の数も多くないので、CLCの図書館によく来ています。ここはいつ来ても開館していますし、本もたくさんあるので、私の大好きな場所のひとつです。CLCには友達と一緒に来たり、ひとりで来て本を読んだり、おしゃべりしたり、遊んだり、自由に倒しい時間を過ごしています。私のお気に入りの本は、カンボジアの昔話をもとにした物語の本です。このシリーズは、色々な物語を知ることができて楽しいです。
ご支援いただきました日本の皆様、ありがとうございます。もっともっとたくさんの本を読みたいと思っていますので、ご支援いただけましたら嬉しいです。
トゥ・スレイニアン 16歳 ニーペック集合村CLC 利用者
CLCに来たときは、本を読むのはもちろんですが、図書館員さんのお手伝いもしています。机に置きっぱなしの本をきちんと元の場所に戻したり、コード番号シールを張ったりするお手伝いをよくしています。私の学校には図書室がないので、このCLCはとても貴重な場所だと思います。私も友だちも村の人みんなこのCLCを大切な場所だと思っています。
お気に入りの本は『パイリンの薔薇』というカンボジアの昔話の小説です。たくさん本を読むことで、学校の作文の授業でも役に立っています。利用者のひとりとして、このCLCへご支援いただいた日本の皆様へ感謝申し上げます。
続いて、識字教室受講者の皆さんの声です。
ソーン・ソッ 68歳 サンコー集合村CLC 識字教室生徒
2018年の識字教室を受講しました。識字教室に通っている間は、文字の読み書きについて学ぶ機会だけでなく、テキストに使っていた仏教の本を通じて仏教についての知識も深めることができました。識字教室では、単に文字の読み書きだけでなく、それを用いて新たな知識を得ることができたので、とても有意義な時間でした。とは言っても、まだ読み書きを完璧に習得できたわけではなく、本を読んでいても分からない文字がまだまだたくさんあるので、来年度も続けて受講しようと思っています。私に、識字教室を受講する機会を提供して頂いた日本の皆様に、心より感謝申し上げます。
ニェム・ソッメー 16歳 ニーペック集合村CLC 識字教室生徒
2018年度の識字教室に8ヶ月間通いました。教室では、文字の読み書きと簡単な計算を勉強でき、同じ教室の仲間と一緒に勉強して、修了試験にも合格することができました。教室に通うたびに文字が読めるようになっていくので、とても嬉しい気持ちになったことを覚えています。
文字の読み書きができるようになると、自分に自信が待てるうえに、道路標識や看板に書かれていることが分かるようになったときは、今までの世界が一変したようでした。ご支援いただいた日本の皆様に心より感謝いたします。
続いて、CLCの活動を支える館長さんと図書館員の方のメッセージです。
ソム・スーン 44歳 ロンコー集合村CLC 館長
この村にCLCができたばかりの頃は、地域の人びとはCLCを政府の事務所か学校の一部と誤解していましたが、シャンティの移動図書館を通じた広報活動や、コミュニティの人びとの地道な周知活動によって、CLCの認知度は向上してきています。CLCの存在だけでなく、本や図書館の利点(特に子どもにとっての読書の利点)についての理解度も、以前よりも増しているようです。
シャンティが実施した図書館運営研修は、とても有意義なものでした。私たちのCLCは、図書館活動に特に集中して取り組んでいるため、図書館の運営に関する知識・能力を深めることができた点で、とても良かったと思います。配架リスト、蔵書リスト、利用者記録といった文書の管理と、地域住民のニーズ把握についてのセッションは特に興味深かったです。
これからは、現在取り組んでいる図書館活動に加えて、地域の方々にさらに身近に感じてもらえるように、CLCの整備を進めたいと思っています。その第一歩として、敷地内のサッカー場の整備と地域のサッカーチームの立ち上げ、敷地内の庭園整備に取り組む予定であり、現在そのための資金集めをしています。
私たちのCLCにご支援いただきました日本の皆様には厚く御礼申し上げます。今では、このCLCは地域住民の生涯学習の場として欠かせない存在になっていますので、引き続き温かく見守っていただけましたら幸いです。
スーン・オウン 46歳 ロンコー集合村CLC 図書館員
私は、本と子どもが好きで、2年前からこのCLCの図書館員として働き始めました。この地域には読書習慣が確立されていないばかりか、子どもたちが日々通う学校においてでさえ、本が十分に配架されていない状況です。このCLCが誕生してから、近隣学校の生徒たちが毎日来て本を読むようになったことは、とても画期的なことでした。大人の利用者については、それぞれ農作業で忙しいので、毎日足を運んでもらうのはなかなか難しい状況ですが、それでもこの図書館へ来たときは、農業に関する本を読んで、役に立つ知識を身につけているようです。
シャンティの移動図書館を通じた広報活動もあり、地域住民や成人利用者の多くがCLCのことをきちんと理解してくれるようになりました。しかし、まだ一部にはCLCの機能を誤解されている方もいるので、引き続き啓発活動に努めたいと思います。
図書館運営研修は、私が図書館員としての能力を向上させるのにとても役に立ちました。日本のご支援者の皆様には大変感謝しております。今後ともご支援をお願いいたします。
利用者の皆さん、CLCの運営に取り組む館長さんや図書館員の皆さんの声に、私自身とても勇気づけられました。地道な活動の先に小さな変化の積み重ねを作っていくことで、少しずつ大きな変化につながっていくのだと思います。この取り組みを支えてくださるすべての方に、心からお礼申し上げます。
シャンティが支援してきた全6館のコミュニティ学習センターは、2018年までに州教育局への移管が完了しました。現在、移管後の運営が円滑に行われ、CLCが村の人にとっての生涯学習の場として継続的に機能することを目指し、CLC運営メンバーの皆さんの能力強化活動を継続しています。
2019年は総仕上げの活動として、CLC運営委員会による年間活動計画の策定と予算作り、資金調達のサポート、また、CLC運営委員会が自ら計画した活動が実現できるような側面支援を行います。CLCの皆さんが村のニーズに基づいて自力で本の追加購入ができるようにするための実践研修や図書館運営方法のマニュアルの最終化などの活動を通じて、これからも継続的に図書館が運営されるようサポートします。
これまで文字を学ぶ機会がなかった人にとって、本がほとんど手に入らない僻地の村に住む人にとって、CLCが少しでも「世界を変える」場所であり続けるために、皆様のあたたかいご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
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カンボジア事務所 調整員 萩原宏子