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2019.03.10
海外での活動

ネパールの防災紙芝居を披露~報告会「防災意識を高めるためには?ネパールでの学校防災能力強化事業」開催報告

ネパール

2019年3月7日、東京・恵比寿にあるEIJI PRESS Labにて、報告会「防災意識を高めるためには?ネパールでの学校防災能力強化事業」を行いました。ネパール事務所所長の三宅より、ネパールでの防災意識を高める取り組みについてご報告し、事業で作成した防災紙芝居を披露しました。

ネパールでの防災能力強化事業

今回登壇した三宅は、2017年にネパール事務所所長として赴任して以来、ネパールで防災能力強化に取り組んできました。

2015年4月にマグニチュード7を超える地震があったネパールでは、全国で7,553校が倒壊し、そのうち88%、約6,500校が再建済みもしくは再建中です(2018年12月時点)。一方、生徒や教員、住民の防災知識の不足や学校の防災計画がないなど、防災能力の向上も課題になっています。シャンティ・ネパール事務所では、2017年3月~2020年2月までの3年間、地震の被害が大きかったヌワコット郡とラスワ郡で「防災能力強化事業」を行っています。

ネパール政府が定める耐震強度の基準を満たした学校校舎の建設や、図書活動を通じた防災教育、災害時の危険箇所や避難経路を明示した学校防災計画の作成など、学校や地域と協力して事業に取り組んできました。

防災紙芝居は、4タイトル各150部を発行し、対象校以外の学校や公共図書館にも他のNGOを通じて配布しています。また、学校に図書コーナーを設置したところ、複式学級で先生が別の学年を教えている間、児童たちが図書コーナーの本を読んで時間を有効活用している副次的効果も見られました。

地域の防災能力を向上させるため、学校の防災計画を作り、避難訓練や保護者への防災計画説明会なども実施しています。また、コミュニティウォッチングを行い、児童が学校周辺地域のハザードマップを作成しました。

学校の耐震強度にあわせて左右どちらからも引ける紙芝居

紙芝居は基本、見る側にとって右から左へ、つまり←の方向へ抜くよう作られています。

耐震強度が備わった学校の場合、まずは机の下へ隠れて危険を避けるよう指導します。

一方、学校の耐震強度に不安がある学校では、抜く方向を左から右(→)へ変えて指導します。

耐震強度に不安がある学校の場合、机の下へ隠れていたら校舎の倒壊に巻き込まれてしまう可能性があるからです。頭を守りつつ校舎の外へと逃げるよう指導するため、紙芝居の左右に異なる絵が描かれています。

どういうときに右(または左)へ引くのか、どこまで引いてよいかなど、紙芝居の使い方が裏面に書かれてるので安心です。

この左右に引ける紙芝居は、耐震強度や地震対策に差があるネパールのどの小学校でも使えるようにと、ネパール事務所のスタッフが考えた出したアイディアです。

災害の種類を学べる紙芝居

地震大国と呼ばれるネパールですが、地震だけでなく土砂崩れや地滑り、火災、雷、洪水など、さまざまな災害が発生します。土砂災害のことをネパール語で「パヒロン」と言い、2018年に紙芝居「パヒロンが来た」を出版しました。怖い怪物「パヒロン」がどんなときに現れ、災害の予兆や起きたときの対処方法などを妖精が教えてくれるストーリーになっています。

ネパールの教育事情は、小中学校(=基礎教育)の無償化と義務化、高等学校(中等教育)の無償化など、改善の兆候が見える一方、高等学校を卒業できる生徒の割合は24%に留まります。他にも、地域格差、所得格差、民族・カースト間格差、正規教員の圧倒的な不足、複式学級、公立学校の質の低下、私立学校の増加など、課題は少なくありません。

ネパールでの活動は2017年にはじまったばかりですが、学校の防災能力向上の取り組みは、確実に一歩ずつ、前進していると感じました。

報告:広報課 広報担当 召田安宏

ネパール|海外での活動|活動内容|公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)

※ネパールでの学校防災能力強化事業は、外務省 日本NGO連携無償資金協力事業の支援を受けて実施しています。