さすが仏教国ミャンマー 僧侶と地域住民の信頼関係を実感!
ミャンマー事務所の市川です。
人口の9 割が上座部仏教徒であるミャンマー。ガイドブックのイメージでは、キラキラと浮かび上がる金色のパゴダが目に浮かぶと思います。また、国民生活が仏教文化と密接に結びつき、東南アジアの仏教国の中でも、その結びつきは格別に感じることもあります。
ある日、寺院学校建設で応援させていただいたアトカヤマ寺院を訪問しました。寺院学校は、経済的な理由等で公立学校に行けない子どもたちに学ぶ場を保障する最後の砦であり、全国に約1,500校、約26万人の子どもが学んでいます。ここで、僧侶であり校長でもあるアシンティッサ氏(44歳)に話を伺いました。14歳で修行僧となり、各地で仏教を学び、29歳でマンダレーの仏教大学に入学。在学中、山岳民族の子どもたちの学校建設のために寄附集めにも奔走。卒業後、生まれ故郷に戻りましたが、地元の方から懇願され、2010年に寺院を建立し、その1年後に、寺院学校を開設されました。
アシンティッサ氏(以下の写真は、すべてアトカヤマ寺院内で撮影)
アシンティッサ氏は、「私は、この地域の出身。近くに公立学校があっても、経済的な理由で学校に行けない子どもが大勢いるのを目の当たりにしました。例えば、子どもが2人いたらⅠ人は学校に通わせられないか、1人とも学校へ通わすことができないことが当たり前でした。当初、行政の支援もないし、地域の人も学校設立の経験がないから、説明会を開いても説得するのに一苦労。でも、初年度に100人以上の子どもたちが集まった時には、手ごたえを感じました。しかし、学校経営は資金面が大変で先生の給与すら払えない。この寺院の信者が、地域を一軒一軒回っては寄附を集めてくれて、なんとか軌道に乗せることができました」と語りました。今では、中学生まで通うことができるようになり、住職自ら、毎朝、学校が始まる前に、仏教の時間を作り、子どもたちに教えているとのことです。
ボランティア先生のアウン・ツーさん(21歳)。腕を組むのは、尊敬のしるし。
学校運営を支援する委員会は、地域の熱心な信者で構成されています。あるメンバーの女性は「この僧侶は、子どもの頃から修行に精進して仏教大学を出て教養もある。地元出身だし、地元に戻ったら、迎え入れたいと切望していましたよ」と語ってくれました。彼女の実家は、茶の卸売業を営んでおり、自らも、この寺院に建物建設を支援したとのことでした。
ミャンマーでは、僧侶は孝徳を積む大切な対象であり、身近な師であり、相談相手でもあります。今回の訪問で、僧侶と地域社会の信頼関係の強さを垣間見ました。
ミャンマー事務所長 市川 斉
休み時間にサンダル取りゲームを楽しむ女子児童