ミャンマー国境の村での新型コロナウィルス対応
こんにちは。ミャンマー国境支援事業事務所の山内です。私達の事務所があるタイ・ミャンマー国境には、国境を渡るための2つの「友好橋」があります。主に旅行者や移民労働者など人が移動するための第一友好橋、そして車などの輸出入品を輸送する大型トラック向けの第二友好橋(昨年に開通しましたが、橋の全ては完成していないと言われています)です。新型コロナウィルスの影響で、第一友好橋は3月末から現在まで閉鎖しています。第二友好橋は物量が減っているものの、閉鎖はしていません。
閉鎖中の第一友好橋(タイ側メーソットから撮影)
第一友好橋が閉鎖することが決まってから、タイ側に移民として働いていたミャンマー人の多くが、ミャンマーに戻りました。その数は約17,000人と言われています(The Irrawaddy:3月24日記事より)。私達がコミュニティリソースセンター(以下CRC)事業を行っているミャンマーのレイケイコー村では、戻ってきた移民を一時的に受け入れる等の対応をしていました。今回はミャンマー・カレン州の村での新型コロナウィルス対応について、カイン職員に聞いてみました。
皆さま、初めまして。ミャンマー国境支援事業事務所CRC担当のカインです。
私達がCRC事業を行っている村は新型コロナウィルスの影響から、4月頃からミャンマー人であっても入ることができなくなり、今ようやく村に行くことができるようになりました。
レイケイコー村では、1人1人の体温確認等を行う等してから、タイから戻ってきた移民を村に受入れていました。村近くの大きな街であるミャワディは人々を受け入れるための施設を用意していましたが、短期間で全員分を準備することは困難であったためです。人々は自主隔離のため、一時的にレイケイコー村に滞在した後に自分達の村に戻っています。また、レイケイコー村では外部団体からの支援を受けて、周辺の村も含め、村民に必要な物資の配布をこれまでに2回行っています。1回目は石鹸、マスクなどの衛生用品を配布し、2回目は衛生用品の量を増やし、更に女性向けの用品、お年寄りがいる家庭には少額ですがお金を渡しています。
村民に物資を配布する様子(村民の中から配布ボランティアを募っていました)
現在は移民の受入れも終わり、村民は新型コロナウィルスの予防に気使った生活をしています。村内の学校はまだ閉鎖しており、小さな商店は再開の準備ができずに閉じています。そして、今後の大きな課題は仕事になります。通常から村内には仕事があまりないために、タイ側に移民として働きに出ている住民が多く、新型コロナウィルスの影響で国を越えた移動ができないことで働き先が見つけられていません。不安を抱える人も多いですが、村長は村で仕事の機会を作ることに意欲的です。
CRCは一時期閉館することを決めましたが、今は再開しており、利用者に対してマスクの着用や入館前の手洗いの徹底を呼び掛けています。
CRCを利用する子どもたち
引き続き村の現状に対応して、私達も活動していきたいと思います。
今回はミャンマー・カレン州の職員から近況をお伝えさせてもらいました。まだまだ油断のできない状況が続きますが、引き続き皆様が安全な生活を過ごされることを祈っております。
ミャンマー国境支援事業事務所 山内
※文中のCRC事業は、日本財団とのパートナーシップ協定に基づき、外務省より資金援助を受け実施しています。