予想外!ネパールの食生活~栄養教育の3つの壁~
こんにちは。事業サポート課ネパール担当の竹本です。シャンティはネパールで教育の質を改善するために新しい3つの事業を開始しました。新事業の一つとして、国連世界食糧計画(WFP)の給食改善事業の中で、シャンティは栄養教育活動を担います。
新事業のお知らせ:2015年のネパール大地震緊急救援から復興支援、その次のフェーズへ ネパールで3つの教育の質を改善する新事業を開始
ネパールでは、近代化とともに食生活の変化があり、子どもの栄養不足と肥満が同時に問題になっています。ネパールのヌワコット郡の小学校で正しい栄養の知識が身に着くように栄養教育を広める活動を行います。本事業の開始を受け、私も栄養教育について勉強していたのですが、これがなかなか日本の知識をネパールに当てはめることが難しく、文化の違いによって3つの壁にぶつかりました。
第一の壁:1日3食、しっかり食べましょう。
1日3食は良い食生活の基本ですよね。でも、ネパールでは基本、午前の食事、おやつ、夕食だそうです。それぞれEarly lunch:早い昼食、Kaja:おやつ、Dinner:夕食と呼ばれ、日本の朝昼夕とは微妙に違っています。
現地スタッフに聞いたネパールの食生活を表にしてみました。ネパール国内でも地域によってちがっており、特に都市部は日本や欧米に近い食生活に変わってきているそうです。
日本の |
ネパールの 食生活 |
ネパールの 食事時 |
ネパールの 食事例 |
朝食 | Early lunch: 早い昼食 |
午前8時~11時前後
農村部: |
ネパール伝統料理、 ダルバート・タルカリ (豆のスープとお米、野菜のおかず) |
昼食 | Kaja :おやつ |
午後2時~3時前後
農村部: |
やきそば、ラーメン、 ふかし芋、スープ |
夕食 | Dinner :夕食 |
午後7時~10時前後
農村部:就寝前 |
ネパール伝統料理、 |
ネパール料理、ダルバート・タルカリ
本事業では、農村部のヌワコット郡で、Kaja、おやつにあたる給食をきちんと食べることで、子どもたちの栄養状態が改善されることを目指しています。山岳地帯のヌワコット郡では、早朝に朝食を食べ、何時間も山道を歩いて学校に通う子どもたちもいます。おやつ、Kajaは本当に軽いものしか食べない場合もあります。
小学校の給食の様子
第二の壁:いろんな食材を食べましょう。
ネパール料理の代表は、ダルバート・タルカリと呼ばれる定食です。ごはんの上に豆のスープをかけて、野菜のおかずと一緒に食べます。手でそれらすべてを混ぜながら食べることが多いです。家庭によっては、毎食同じダルバート、タルカリ(おかず)も一緒ということもあるそうです。
海のない内陸国のネパールでは、魚介類が地域によっては手に入りません。農村部では牛肉や豚肉を食べることが少なく、鶏肉や水牛の肉の方が一般的な地域もあります。上述したタルカリは基本的に野菜の煮物などのおかずです。タルカリにお肉が入っていたり、おかずが何品もあったり、漬物がつくこともありますが、私がネパール出張の際、食べたダルバートについていたタルカリは1種類、多くて2種類でした。
農村部では食材や食事のバリエーションが限られている反面、首都カトマンズでは西洋料理や和食、中華など様々なレストランがあります。都市に住む人々の間では、ヴィーガンやベジタリアンとして肉や魚類を食べない人もいます。
小学校で給食を作っている様子
第三の壁:砂糖、塩、油の取りすぎには注意しましょう。
ネパールの紅茶にはミルクや砂糖がたっぷり入っています。また、ネパールの代表料理、ダルバートの豆のスープはあっさりとした味の反面、大量の塩と油で作られています。タルカリ(野菜のおかず)やラーメン、揚げ物、やきそばなどにも塩や油がたっぷりです。
砂糖や塩、油をたっぷり使う調理法のネパール料理で、砂糖や塩、油をどうやって減らせるのだろうかと考えています。日本食も塩が多いですが、かつおだしやコンソメなど、魚介や肉から味つけすることで、塩の量を減らせます。食材のバリエーションが限られているネパールならではの難しさがあります。
1日3食同じくらいの時間に、毎食違うものを食べる。肉、魚、野菜、パン、お米、麺、いろんな食材が手に入り、オーブンやフライパン、深鍋、電子レンジがそろい、いろんな調理法で料理できる。日本の栄養教育をそのまま、ネパールにあてはめることはできないと知りました。
まだ、3つの壁すべてを打破できたわけではありませんが、現地事務所と協力しながら、ネパール人スタッフの意見を聞きながら、解決策を考えています。今後のブログで、3つの壁を解決したネパールの栄養教育活動の様子をお伝えできるよう、頑張ります。
小学校で給食を食べる子どもたち