2020.05.19
海外での活動

難民キャンプ図書館での新型コロナウィルス対応

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ

こんにちは。ミャンマー国境支援事業事務所の山内です。タイ・ミャンマーの陸路の国境は常に物流や移民の移動があることから、新型コロナウィルスの影響を考慮し、今は閉鎖されています。事務所職員や私も状況に合わせて、在宅勤務を取り入れているところです。
このような中で、心配になるのは難民キャンプの状況です。元々家が密接していて、閉鎖的な環境のためウィルスが1度入り込んでしまうと、あっという間に感染が拡大してしまうと予想されます。
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家が密接する様子。ウンピアム難民キャンプにて。

そこで、今回は今現在の難民キャンプと図書館の様子をエッソ職員に聞いてみました。


皆さん、こんにちは。ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所コーディネーターのエッソです。皆さんが無事に過ごされていることを祈っています。

私達はタイ・ミャンマー国境の難民キャンプで活動するために、毎年タイ内務省の許可を得ています。新型コロナウィルスの拡大を受けて、タイ内務省は3月から部分的にキャンプの閉鎖を決め、4月には全てのキャンプが閉鎖となりました。今は1部のキャンプでは食糧・医療の支援をするNGOのみ入場を許可されていたり、1部のキャンプではタイ内務省からの許可が下りれば入ることができたりする様になりました。
この状況を受けて、カレン難民教育委員会とも協議し、4月に一定期間図書館を閉じることを決めました。現在は開館をしていますが、図書館のサービスは子ども達への読み聞かせ活動を基本的には中止(子どもの人数などを見て、状況に応じて対応中)し、本の貸出のみに留めています。キャンプに暮らす人達は自分の住んでいる地区から他の地区への移動に関して自粛要請が出されているために、図書館に通えない人達が出てきています。

私以外の図書館事業担当職員も、この状況を受けて、人々の本を読む機会や学習機会が減ってしまっていることに不安を感じています。そこで、できる限りの対応として、貸し出し期間の延長や本の消毒をすることにしています。また、図書館が新型コロナウィルスに対応するため、石鹸、フェイスシールド、マスク、アルコール等を購入し、他のNGO経由でキャンプに届け、図書館の閉館を決めた期間を利用して図書館の大清掃を実施しました。そして、情報提供活動の一貫として、新型コロナウィルスの情報を情報掲示板に掲示するなどして、啓発に努めています。
フェイスシールド
図書館員はフェイスシールドとマスクを装着し、蔵書すべてを消毒しました。

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図書館の前にある情報掲示板で啓発をしています。

新型コロナウィルスへの対応をしていて、少し良かったことがあります。今まで以上に図書館が清潔に保たれていること、図書館員がスキルアップの時間を持てるようになったことです。図書館員には利用者が減っている時間を利用して、読み聞かせの練習をしてもらっています。
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図書館員同士で読み聞かせの練習中

図書館関係者も変わりなく図書館活動に関わる行動を取ってくれています。図書館員会は利用者に対して手洗いの呼びかけをしてくれていますし、図書館青年ボランティアは図書館清掃の手伝いを積極的に行ってくれました。
状況を見ながらになりますが、今後図書館関係者と少人数の会議の場を持ち、これからの対応を協議していきたいと思っています。心配な状況は続きますが、職員一丸となって、今できることに取り組んでいます。


世界中が大変な状況ではありますが、皆様の日常が戻ること、難民キャンプに暮らす人達が本を読む機会、学習機会を取り戻せる日が来ることを祈っています。引き続き、難民キャンプの図書館を見守って頂けますと幸いです。

ミャンマー国境支援事業事務所 山内