2025.09.18
海外での活動

学びが広がる場-コミュニティ図書館・リソースセンターの竣工式を実施しました

ネパール

みなさま、こんにちは。事業サポート課の杉戸です。

8月31日、ネパール東部コシ州サンクワサブハ郡のダルマデヴィ自治体において、コミュニティ図書館・リソースセンターの竣工式を開催しました。

今回竣工したコミュニティ図書館・リソースセンターは、2023年に開始した「コミュニティに根差した職業・技術スキル開発事業」で建設された施設です。本を読むだけの場ではなく、識字教育やライフスキル研修、さらにIT・起業・農業といった職業・技術スキル研修を通じて、人々が学び、交流し、新しい挑戦へと踏み出せる場所となります。地域の皆さんが集い合い、共に未来を築く拠点として、このセンターはこれからの歩みを支えていきます。

式典が始まる前から、地域の皆さんが多く集まり、歌や談笑を交えながら完成を喜び合い、会場は祝福の雰囲気に包まれていました。式典には、地域住民の皆さまをはじめ、自治体関係者や行政の担当者など多くの人々が参加し、シャンティからは東海泰典理事が出席しました。コミュニティが一体となり、盛大に竣工を祝うひとときとなりました。

完成を祝うコミュニティの人々

参加者を歓迎する子どもたち

完成したコミュニティ図書館・リソースセンター

式典では、色鮮やかなリボンが張られた入口でテープカットが行われ、会場に集まった人々から大きな拍手と歓声がわき起こりました。その後、参加者者は施設内を巡りながら、図書室、児童室、IT室、多目的スペースなどを一つひとつ見学し、新しい施設への期待を膨らませていました。

テープカットの様子

館内を見学する参加者

児童室の様子

式典では、地域の人々による歌や踊りの披露もありました。色鮮やかな民族衣装を身にまとった人々が舞台に立つと、観客からは手拍子や掛け声が自然と湧き起こり、会場は笑顔と活気に包まれました。世代を超えて一緒に歌い、踊る姿は、コミュニティ全体が新しい図書館・リソースセンターの完成を心から祝っていることを物語っていました。
対象地域には多様な民族が暮らしており、それぞれの文化や伝統が息づいています。その多様性が式典にも反映され、歌や踊りを通じて互いの文化を分かち合う光景は、この施設がまさに「誰もが集える場所」となることを予感させるものでした。

輪になって踊る若者たち

踊りを披露する子どもたち

また対象コミュニティでは以前、地域の昔話や伝説を題材にした絵本出版の活動が行われました。この活動では、年長者が語る地域の物語をもとに、子どもたちが自ら絵を描き、文章を書き上げるという形で絵本を制作しました。

今回この活動の経験を振り返る場として、子どもたちと年長者それぞれから話を聞く機会がありました。子どもたちは「自分の描いた絵と文章が本になるなんて信じられない」「とても楽しい経験だった」と目を輝かせて語ります。一方、年長者は地域の伝統を後世に伝える大切さを改めて感じ、「こうして子どもたちが自分たちの話を形にしてくれるのは貴重なことだ」と穏やかに話してくださいました。
子どもたちと年長者の話を聞く中で、絵本出版を通じて得られた学びや地域文化の意義を感じられる、穏やかで温かいひとときでした。

活動について話をする年長者

活動に参加した子どもたち

今後多様な研修や学びの機会が次々と展開されていくことが期待されます。地域の人々が集い、知識や技能を深める場としてだけでなく、世代や立場を超えた交流の拠点としても活用されるでしょう。

最後に、報道の通り先日ネパール国内において政情不安が発生しました。当初に比べると現在は落ち着きを取り戻しつつありますが、シャンティはこれからも関係者と協力し、地域の人々のニーズに寄り添った活動を丁寧に続けてまいります。

シャンティからのメッセージはこちら

 

本事業は「日本NGO連携無償資金協力事業」として、日本の皆様のご支援により実施しています。

事業サポート課 杉戸卓磨