ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所より 2021年の報告とお礼
ハラゲー!(カレン語で「こんにちは」)ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所副所長のセイラーです。
今回、難民キャンプとコミュニティ図書館、そして国境の状況についてお伝えしたいと思います。2021年は、新型コロナウイルスの感染拡大とミャンマーでの軍事クーデターに翻弄された1年でした。
移民の子どもたちへの影響
コロナ禍とミャンマーでの軍事クーデターは、ミャンマーからタイに来て学んでいる移民コミュニティにも深刻な影響をもたらしました。ミャンマー国内の政情不安の影響で国境が閉鎖されているため、学生たちは卒業試験を受けたり、進学のために必要な進学のために必要なIDやパスポートを更新したりするためにミャンマーに戻ることができず、将来に不安を感じています。また、パンデミックの影響で多くの移民学校が閉鎖されているため、多くの子どもたちが親と一緒に労働者として働かざるをえなくなっています。今後学校が再開されても、彼らが学校に戻らないことが懸念されます。このような状況下では、こうした弱い立場にある子どもたちに平等な学習機会を与えることが非常に重要だということがわかると思います。
難民キャンプの人々への影響
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、世界的な危機をもたらしました。難民キャンプは、新型コロナウイルスの発生を効果的に防ぐための十分な資材や設備を受け取っていませんでした。各キャンプはできる限りの対策を取って予防に努めましたが、最終的には、感染者数は異なるものの、すべての難民キャンプで新型コロナウイルスの陽性者が発生してしまいました。発生後は移動などの多くの制限がしかれ、人々の生活の質や幸福度は悪化しています。また、私たちシャンティを含む人道支援機関にも多くの制限が課され、通常の支援活動を実施することが難しくなりました。これらのことが、難民キャンプに暮らす人々に身体的にも精神的にも大きな影響を与えています。
難民キャンプの子どもたちへの影響
難民の子どもたちもまた、この新型コロナウイルスの感染拡大によって最も影響を受けやすいグループのひとつです。感染拡大防止のために長期的に学校が閉鎖され、子どもたちは学習の機会を失っています。教育分野で活動するすべてのNGOが、子どもたちが教育を受けられるようにするために、自習教材や遠隔教育システムの開発に取り組んできました。しかし、難民キャンプで遠隔教育を実施するための教材の提供や教育関係者のトレーニングには多くの課題があります。そのため、読書は学習の基礎となるものだと思います。従って図書館はこの危機的状況の中で、子どもたちが読む力を維持し、本に夢中になるための有効な学習支援となり、最優先されるべき取り組みのひとつだと考えています。
(できるだけ間隔をあけ、マスクをしながら授業を受ける子どもたち)
皆様のご支援、ご協力ありがとうございます
このような困難な状況下ですが、ありがたいことに、私たちシャンティは図書館関係者の皆様のご協力と、日本の皆様からの継続的なご支援により、書籍や必要な物資を難民キャンプに届けることができ、移動図書館や書籍の貸し出し、絵本の読み聞かせやゲームなど、さまざまなサービスを提供することができています。タイ・ミャンマー国境の状況をご理解いただき、これまで図書館活動をご支援いただいた皆様に、この場をお借りして心より感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございます。
(コミュニティ図書館で絵本に夢中になる子ども)
今後に向けて
私の夢は、難民キャンプや国境地域に本や人々にとって有意義な活動を届け続けること、特に子どもたちがより良い教育を受け、幸せな人生を送れるようにすることです。この夢を実現するためには、私たち全員がより良い変化のために努力を惜しまないことが必要です。皆様のご協力とご支援が今後も不可欠です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
(ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所スタッフ)
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 副所長 セイラー