2022.06.02
緊急人道支援

【令和4年福島県沖地震vol.3】被災された方との対話で見えてきたもの

震災

令和4年福島県沖地震で被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げます。

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(以下シャンティ)では、3月16日に発生した地震の影響で今も多くの困難を抱えている人たちへの支援を継続しています。

4月中の活動については、vol2をご参照ください。

https://sva.or.jp/activitynews/20220422-2/

 

■令和4年福島県沖地震の概要

福島県南相馬市では5月12日時点で罹災申請受付件数は4,190件(内訳 住家3,187件、非住家1,003件)に及ぶ被害がありました。特に、南相馬市鹿島区では1,664件の罹災申請があり、3,720世帯の住む鹿島区では約半数の割合で被災していることが分かります。

東日本大震災より11年が経ち、復興へ歩みを進めている最中の今回の被災は、精神的にも経済的にも大きな痛手となってしまいました。

発災から1週間後の3月24日から中井康博職員を派遣。平時からつながりのある南相馬市市民活動サポートセンター(以下サポセン)から要請があり運営サポートとして活動を開始しました。

3月25日鹿島区の被災状況の調査に行った際、一面にブルーシートを張った家が広がりその被害の大きさを目の当たりにしました。

 

■“みなみそうま災害支援チーム このゆびとまれ”の立ち上げ・運営支援

 南相馬市の最大の被災地である鹿島区において、外部支援団体が支援に集まる中受け皿がなかったことからパブトラが“みなみそうま災害支援チーム このゆびとまれ”(以下、ゆびとま)を立ち上げ、シャンティは、そのサポートを行いました。

 

【活動内容】

  1. 1.生活支援

南相馬市災害ボランティアセンター(災害ボラセン)が優先的に活動を行う世帯(一人暮らし高齢者世帯、障がい者世帯・ひとり親世帯・経済的に困っている世帯など)から外れたものの、支援すべきニーズが高い家庭を中心に生活支援活動を始めました。その中で福祉的なサポートが必要な世帯については社会福祉協議会への情報共有や地域包括支援センターにつなぐ活動を行いました。継続的な見守りが必要な世帯についてはケアマネージャーなどを中心に寄り添う活動を行ないました。

 

  1. 2.入浴支援(入浴チケット配布)

市では、地震により断水等により、自宅で入浴ができない方を対象に、南相馬市内の入浴施設の無料利用を3月27日まで実施していました。

しかし、ボイラーの故障や浴室自体の損壊により入浴ができず修復まで時間がかかる世帯が続出したため、ゆびとまでは入浴チケット配布を始めました。また、自ら入浴施設に移動することが難しい世帯に対してはタクシーチケットの配布を行い、チケットを渡す際はヒアリングシートに基づいて生活状況などを伺い片付け作業や生活支援に活動をつなげるきっかけとなりました。現在も浴室が使えない世帯を対象に支援を継続しています。

〇入浴支援した家の状況・声

・80代男性「地震によってボイラーが故障し、業者がくるまで2か月かかると言われた。」

・70代男性「浴室の壁が崩れたままで入れる状態じゃない。」

・80代女性「浴槽が割れて水をためることができない。」

・70代女性「薪風呂で外壁が割れて煙が入ってくる。外壁の隙間からムカデやアリが入ってくる。」

 

3.技術系ボランティアのコーディネート

4月9日~5月11日の約1か月間ゆびとまで地震による瓦のずれなどで起こる雨漏りを防ぐため行う屋根のブルーシート張り作業のコーディネートを行いました。

 

 専門的な技術を持った団体が多く集まる中、作業に入る前の現地調査や作業の依頼(マッチング)、報告を主にシャンティが担当となり多くの団体からのサポートをいただきながら実施しました。

 

■現地で聞いた被災された方の声・見えてきた課題

  • 1.制度による公的支援が少ない

一部損壊の世帯数が多いことから公的支援制度を受けるのはわずかであり、住宅再建にむけて経済的負担が大きいと考えられます。そのため、罹災証明申請すらしない住民も多く、できる限りの資金助成の制度を活用できるよう促す必要がありました。また、高齢者には罹災申請や災害ごみの搬出許可申請など難しい手続きがあり申請の手伝いをする必要があります。

 

  • 2.一般ボランティアができる活動が少ない

一部損壊世帯が多いため、一般ボランティアでできる作業が非常に少なく、基本的に専門的な技術を持った団体の屋根作業やブロック塀、外壁の作業のみになります。そのため雨漏りなど根本的な問題解決には時間がかかります。

 

  • 3.メディアの取り上げが少ない

ウクライナ情勢の影響も強くメディアでの取り上げも少なく外部からの支援も少なく復興には時間がかかることが予想されました。シャンティとして発災直後から情報収集は行っていたものの数字として被災情報はほとんど得ることができず状況を確認することが非常に困難でした。

 

  • 4.外から被害が見えづらい

全壊、半壊の家は少なく被災した状況が分かりづらいため福祉的な目線での訪問が必要でした。しかし、東日本大震災を含めて3度の地震で悪徳修理業者による詐欺まがいな訪問もあったと聞きました。

被災後、雨漏りする家の中で傘をさして寝ていた話を伺ったり、全壊の部屋の隣で家族7人身を寄せていた家の存在、ストレスによりアルコール中毒になった男性、1か月間も孤独死が発見されないままになっていたり、漏電により家が全焼したなど数えきれないほど今回の災害に関連した悲惨な状況を目の当たりにしました。

今回関りを持つことができた住民の多くから「見つけてくれてありがとう」という言葉をいただきました。困っていても声を上げることができない人が多くいる中、こちらからお話を聞きに行くことの重要さに改めて気づかされました。  

 

■今後の活動

技術ボランティアの支援活動によって、住居の当面の確保により一時的問題は解決したものの、その後の生活課題、今後ブルーシート張替えや経済的な問題などが予想されます。そういった人の声を聞くことができる場所として、地域の皆さんが気楽に集まり悩みを話し合うことができる場が必要です。新型コロナウイルス感染症拡大前は、社協管轄のサロンが鹿島区だけでも約20か所ありましたが、現在では、半数以上活動していません。マンパワー不足からアウトリーチで声を拾うことが難しくなっていく中、継続的に相談窓口を設けることのできる体制構築のサポートを行っていくことが重要であり、6月からサロン活動を実施しております。シャンティとして、出張ベースで7月まで側面支援を継続していきます。

 

■活動実績

【入浴支援 実績】

4月7日~5月21日

対象地域:福島県南相馬市

配布枚数:263枚

配布世帯:14世帯(延べ28世帯)

配布人数:43人(延べ93人)

 

【ゆびとまでのニーズ管理】

マッチング計147件

ゆびとまで依頼を受けたニーズ計60件

 

本事業は「日本財団」からの助成金を受けて実施しております。

本件に関するお問い合わせ先
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会 担当:地球市民事業課 渡邉・中井
〒160-0015 東京都新宿区大京町31 慈母会館2・3階
TEL:03-6457-4586 FAX:03-5360-1220