2022年度防災減災事業の報告書が完成しました!
地球市民事業課 国内緊急人道支援担当の中井です。
東日本大震災以降、災害時対応のため宗教施設を地域資源として活用する取り組みが全国で行われています。阪神・淡路大震災以降、国内で緊急人道支援を行ってきた当会では、被災地で活動を行う際、炊き出し拠点やボランティア拠点などとして宗教施設を利用させていただき、宗教者と連携し活動を行うことも多くありました。
全国各地で災害が頻発する近年、日頃からの連携無しに、災害時における協力を行うことは難しく、2022年度より次の災害に備え新たな防災減災事業をはじめ、「2022年度宗教施設を活用した防災減災推進事業報告書」としてまとめました。
この一年間、宗教者の皆さんをはじめとする多くの方の協力を頂きながら「防災減災における宗教施設の役割」に試行錯誤してきました。その中で、見えてきた役割は、宗教施設に求められるのは避難所だけではなく、車両避難場所、ボランティアや炊き出しなどの災害支援の基地と多様な活用方法があるということです。寺院の方からは緊急時に地域のために何かしたいという思いがある中、責任問題や活動のハードルの高さを懸念するという声もありましたが、寺院の規模や特徴によって様々なことが考えられる可能性を感じました。
また、災害時だけでなく日頃から地域に開かれた日常活動がないと、災害時の混乱の中、新たにコミュニケーションをとることは難しい部分もあります。人とのつながりが一番の防災力になる事を改めて気づかされました。
防災ワークショップの様子(佐賀県武雄市)
宗教施設の多くは、BCP(事業継続計画)を策定しているわけではなく、家族だけで運営しているところも多い中、大規模災害時に避難者を受け入れることに不安を抱えていることがわかりました。ワークショップなどを通して不安を言葉にすることで、課題を洗い出すことができ、次に対応すべきことについて、少しずつではありますが見えてきました。
毎年起きる災害について多くの方に自分事として考えるきっかけを作れたことが何よりの成果だと思います。
この取り組みが来るべき大災害の備えとなり、その対策の礎になる事を期待し、皆さまのお役に立てていただければ幸いです。
※本事業は、令和4年度 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業の助成を受けて実施しています。
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本件に関するお問い合わせ先
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会 担当:地球市民事業課 渡邉珠人・中井康博
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