2023.06.07
海外での活動

ネパール:地域学習カリキュラム事業が完了

ネパール

みなさま、こんにちは。ネパール事務所の萩原です。

2020年3月から3年間にわたって実施した地域学習カリキュラム事業がこのたび、無事完了しました。

多民族国家のネパールでは、各地域の特性を踏まえた地域学習カリキュラムを自治体の主導で開発、実施することになっているのですが、資金やノウハウの不足から多くの自治体で実施できていません。これに対し本事業では、先住民族であるチェパンやタマンの人々が多く住むラクシラン自治体にて、地域学習カリキュラムの開発と普及を支援しました。


自治体関係者と地域のリソースパーソンと協力して制作した1-5年生の教科書(このほか6-8年生の教科書も制作)

事業最終年度に実施したモニタリングでは様々な成果を確認することができました。こちらは11月に実施した対象校モニタリングの様子。地域で採れるハーブ(薬草)についての授業です。先生は授業が楽しくなるよう工夫し、ハーブの名前を使ったビンゴゲームを実践していました。


ハーブの名前を16マスの紙に書き込み、当たったら小石を置きます。右側に見えるのが教科書の「地域で採れるハーブ」のページです。

このグループはリーチが3つ。今か今かと当たるのを待っています。

こうした対象校のモニタリングの中で、先生方から頻繁に聞いたのが、「子どもたちは地域学習カリキュラムが好き」という言葉です。自分自身もチェパン民族であるというシュシマ・チェパン先生(4年生教員)は、「自分たちのことについて学べるので、子どもたちは地域学習カリキュラムの授業が好きです。(教科書の写真を見て)『この場所知ってるよ!』と言います。地域学習カリキュラムの教科書では身の回りにあるものについて書かれているので、子どもたちは興味を持っています」と話してくださいました。

こちらの男の子も地域学習カリキュラムが好きと答えてくれた一人です。「特に好きなトピックは何?」と尋ねると、「移動農耕のトピックが好き。自分もやったことがあるし、親や祖父母がやっているのを見たことがある」と答えてくれました。また別の児童は、「ラクシランの地元の団体のトピックが好き。親にも近隣の団体について質問したよ」とのことでした。自分の身の回りの具体的なものや経験と教科書の内容を結び付けられることが、子どもたちにとってやはり興味深く楽しいようです。

シャンティはラクシラン自治体での地域学習カリキュラム支援を終えますが、同自治体は既に次年度の教科書印刷予算を計上するなど、地域学習カリキュラムを自ら継続・発展させていこうと積極的です。ラクシラン自治体で今後、地域学習カリキュラムがどのように発展していくのか、これからも見守っていきたいと思います。

ラクシラン自治体関係者の皆さんとの集合写真

本事業は日本NGO連携無償資金協力事業として実施しました。

本事業はローカルNGOのSamunnat Nepalと連携して実施しました。

★本事業の終了時調査の結果はこちら

ネパール事務所 萩原宏子