【令和5年7月豪雨 vol.3】表から見えない深刻な住宅の被害
7月14日からの大雨に見舞われた秋田市に、当会シャンティではスタッフを派遣し、現在も秋田市社協や技術系団体と連携しながらボランティアの現場コーディネーション支援を継続しています。秋田市内の住家被害は、床上浸水4,563棟、床下浸水3,081棟です。(令和5年7月14日からの大雨による被害状況等について(第28報・9月19日16時00分現在))水害から2か月以上経過し、ニーズは落ち着いてきたものの、今になって聞こえてくる住民さんからの相談もあります。
A雄さん宅の1階の状況。現場に同行した方も「洗濯機の中のよう」と語った。
洗濯機の中にいるような状態のまま2か月間
A雄さんは70代の男性で、妻と娘の3人暮らし。「ボランティアの方に作業を依頼するのは、ある程度整理にしてからでないといけないと思って、最初は、全部、自分でやろうと思ったんだけどね」とのこと。A雄さんから「床下の状態を見てほしい」という連絡があったのが訪問のきっかけでした。1階が床上浸水をしたため、2階で避難生活をしながらひと月かけて片づけをされていたようですが、3人だけでは限界があり、技術系団体と共に当会スタッフを含めて活動を行いました。家財道具の整理、災害ゴミの搬出、抜けた床板剥がすなど住民さんと確認しながら対応させていただきました。
畳にカビがはえ、壁も濡れたままの状態(A雄さん宅)
「久しぶりに泣いて話すことができた」
B子さんは70代で、90代の母親と2人暮らし。80センチの床上浸水で2階での避難生活が続いていて、1階に90代の母親がゆっくり過ごせるスペースづくりが急務でした。技術系団体の作業に同行し、床の応急処置をさせていただき大工さんが来るまでの間、1階で過ごすことのできる空間ができたと喜んでいらっしゃいました。話をする中、「昨年に20年難病と闘った姉を亡くしたの。最終的には入院していたけどコロナ禍で最後は看取ることができなった」と、話してくださいました。今回の水害でさみしい思いをしたこと、被災した荷物を運んで腰を圧迫骨折したことなど、涙ながらに話してくださいました。次の日の作業でお伺いしたところ、「久しぶりに涙を流し話してすっきりした。これで少し前をむいて生きていける」と語ってくれました。
乾燥のためあけていた床に床板をはる(B子さん宅)
今回の水害は、内水氾濫に合った地域が多く、水が引くと何もなかったかのように表面上は見えます。自然災害における家の修繕は、原則、個人の自己責任という状況です。しかし、平時から抱える経済的な事情や生活環境などによっては、ボランティアへの依頼や大工に家の修繕を頼まず、濡れた畳の上にビニールシートを敷いたまま生活を続けるなどといったケースもあります。秋田市災害ボランティアセンターではローラー調査を応援社協などの協力のもと15000件以上行い、自ら声を発することがなかったニーズが浮かび上がってきました。今回、紹介した例はほんの一例ですが、改めて、声なき声に耳を澄ます大切さを実感しました。
今後も活動を継続してまいります。
技術系団体と共に現場で活動する当会シャンティの中井スタッフ(写真右:A雄さん宅)
【ご支援のお願い】「令和5年7月豪雨 緊急募金」受付中
以下の方法で緊急募金を受け付けています。ご協力をよろしくお願い致します。
■クレジットカード
こちらのお申込みフォームからご寄付いただけます。
寄付申込フォーム
*フォーム内で、ご寄付の使いみちで「国内緊急支援」を選択してください。
■郵便振込
郵便振替:00170-8-397994
加入者名:SVA緊急救援募金
*通信欄に「令和5年7月豪雨災害」とご記載ください。上記の郵便振替口座へお振込みいただく際の振込手数料はご負担をお願いします
※当事業は、「赤い羽根共同募金」と「日本財団」の助成金、宗教法人日本テーラワーダ仏教協会をはじめとする皆さまのご支援を受けて実施しております。