2025.06.12
緊急人道支援

南相馬と輪島をつなぐ|令和6年能登半島地震

国内災害

石川県輪島市では引き続き移動図書館活動を実施中ですが、先日、一緒に活動に取り組んでいる輪島市立図書館の皆さんと、福島県南相馬市を訪問してきました。

【お知らせ】輪島市での移動図書館の活動紹介動画ができました!

2011年に発生した東日本大震災では、岩手・宮城・福島の東北3県において、多くの図書館が大きなダメージを受けました。図書館は、読書をするためだけの施設ではなく、情報が集まり、人々が集う憩いの場所という側面があります。そこで、シャンティでは、緊急救援から復興へと向かう中、安らぎや知識を得られる本を通じて、自由に交流できる場づくりをサポートするため、2011年以降、移動図書館活動を行ってきました。

その中でも南相馬市は、シャンティが東日本大震災被災者支援活動の一つとして2012年10月から2016年2月まで、仮設住宅への移動図書館活動を行っていた地域です。2015年5月からは、「復興につながる活動」として、南相馬市中央図書館も一緒に巡回してくださるようになりました。

そして、2016年2月には、シャンティが岩手県での移動図書館に使用していた移動図書館車と蔵書を、南相馬市中央図書館へ寄贈させていただいたご縁があります。

(東日本大震災被災者支援活動の報告書はこちら

当時の移動図書館の様子

2016年5月から南相馬市立中央図書館の移動図書館活動が始まり、それから9年。現在は、子どもの読書環境整備、遠隔地への図書館サービス、コミュニティ支援を活動の柱に移動図書館を継続して実施されています。

輪島市立図書館の皆さんをお連れしたのは、今後、輪島市で移動図書館活動を続けていくにあたり、同じく震災を経験した南相馬市での具体的な活動の様子を見て、今後の活動のイメージや見通しを持てるようにお手伝いをしたい思ったからです。南相馬市立中央図書館に受け入れいただき、訪問が実現しました。

現在は南相馬市内の保育園や子育て支援センター、高齢者福祉施設、生涯学習センターや公営住宅などを巡回しています。

南相馬市中央図書館。JR原ノ町駅前にあり、市民の憩いの場になっています。東日本大震災後はしばらく閉館せざるを得ない状況でしたが、市民の皆さんからの強い要望もあり、5カ月後の8月に再開したそうです。

私たちがお邪魔した日は、子育て支援センターと県営団地への巡回の日で、その様子を見学させていただきました。

子育て支援センターでは、小さなお子さんが移動図書館車の中の本棚から、自分で絵本を選んだり、親子で読み聞かせを楽しんだりする姿が見れました。

お天気も良く、移動図書館日和な一日でした。

県営住宅は、震災の影響で元のお家に住むことができなくなった方たちが多く居住されています。他の地区から引っ越して来た方も多く、地域のつながりが希薄であること、また高齢の方も多く、孤立しやすい状況が課題になっているそうです。

ちょうどこの日は、地域の社会福祉協議会が開催する県営団地の集会所でのサロン活動と合わせての巡回でした。時間になると、住民さんが集会室にいらっしゃって、図書館から持ってきた本やCDを返したり借りたり、サロンでコーヒーを飲みながら、脳トレやおしゃべりを楽しんでいました。

移動図書館の利用者の中には、移動図書館のスタッフとおしゃべりをしたいからとわざわざ来てくれる方もいるそうです。

本を通して人と人がつながる、なんだか心が温かくなる、そんな雰囲気を味わうことができました。

移動図書館の運営に関することから、巡回で工夫していること等、色々なお話を聞くことができました。輪島市での活動のヒントも沢山いただいたので、早速活かしていきたいと思います。

国内事業課 石塚