ネパール初の全国図書館調査と図書館振興に向けた「カトマンズ宣言」
みなさま、こんにちは。
4月からネパール事務所の所長として着任した萩原です。
これからどうぞよろしくお願いします。
シャンティは現在、「被災地、先住民族地域における教育の質の改善事業」をネパールで実施しており、計4館のコミュニティ図書館を建設・支援しています。
本事業の一環として、ネパール初の全国公共・コミュニティ図書館調査を昨年実施し、同調査報告の発表のための全国会議を6月29-30日に行いました。同会議は教育省、パートナーNGOのREAD Nepalと共同で開催し、教育省関係者、全国の図書館関係者など150人以上が参加しました。
開会式写真。参加者の手元にあるのが今回お披露目した調査報告書。
日本大使館の田村賢周臨時代理大使もご参加くださり、「本調査を通じてネパールの図書館の状況が改善され、多くのネパール人がその恩恵を享受できるようになることを願っています」とのメッセージをいただきました。
私も開会式で挨拶をさせていただきました。
続くプログラムでは、調査結果の発表、各地の図書館の実践事例発表、図書館政策改善に向けた協議等を行いました。また、シャンティの教育事業アドバイザーの三宅が、日本の公共・コミュニティ図書館発展の歴史と図書館関連施策についてオンラインで発表しました。
これまでネパールでは、図書館に関する網羅的な全国調査が行われておらず、まずはきちんと実態を把握することが必要でした。そして調査の結果、ネパールではコミュニティ主導で運営される図書館が多くあるものの、行政からの支援が限られており、予算不足や人材不足に悩まされていることがわかりました。
閉会式では公共・コミュニティ図書館振興のための「カトマンズ宣言」が採択されました。宣言は10か条からなり、各自治体に1館の図書館の設置、図書館振興に向けた法・制度の整備、図書館への予算措置を進めていくことなどが盛り込まれました。
同宣言はネパールに図書館の発展のために大きな意味を持つものです。図書館がすべての人に学ぶ機会を保障し、質の高い教育を提供する場となるよう、皆さんとの協議を重ねながら今後も事業を継続していきたいと思います。
本事業は外務省のNGO連携無償資金事業として実施しています。
ネパール事務所 萩原