活動報告!クナール県における生活困窮者への物資配布・衛生啓発及び女性の保護支援事業
みなさまこんにちは!シャンティの芦田です。
6月22日にシャンティの事業地であるアフガン東部で大きな地震が発生しました。現在までのところ、シャンティのスタッフの無事は確認できており、事業の進捗に大きな影響は出ておりません。いち早く被災地域における被害の全容把握・人命救助・復旧が進むことを願っています
現在、アフガニスタンでは、人口の半数以上である約2,400万人の人たちが緊急人道支援を必要としています。緊急の対応がなされなければ、5歳未満の2人に1人の子どもが栄養失調により命を落とすだろうといわれています。フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、アフガニスタンの人道支援、他国に逃れたアフガン難民のニーズに対応するために、国際社会に継続的な支援を訴えています。
また、アフガニスタンのタリバン暫定政権による女性の権利や自由を制限する動きが相次いでいます。国連安全保障理事会は、タリバン暫定政権が女性の権利を損なう政策を相次いで導入していることに深い懸念を示し、撤回を求める声明も発表しています。今年の3月には、現地における女子の中等教育(中学・高校)の再開が容認されていたにも関わらず、再開当日に急遽否認され、多くの女子の教育機会が奪われてしまいました。
シャンティはこのような状況に対応するために、緊急の食糧配布のほか、アフガニスタンの女性が、ジェンダーに基づく暴力、衛生、子育てなど、女性の保護のための基礎的知識を獲得し、自らが保護課題や生活上の困難についてどのように対応すべきか地域の女性同士で話し合うことで解決策を見出す力を身に着けてもらうための支援などをおこなっています。
アフガニスタンでは、政変以前からへき地の女性への支援はなかなか行き届いていない現状がありました。現地に根づく女性への様々な制限の中での活動の実施は、困難になっています。特に、家庭や地域の中で、女性が関える様々な課題は課題として認識されていないことも多く、女性が課題を認識すると同時に、地域の人々の理解を促進することも重要になっています。こういった活動の実施は、困難ではありますが、現地職員の粘り強い説明と調整で、地域住民、行政の方々の理解を得ることができました。
女性がいる世帯を訪問し、弊会のスタッフが啓発活動を行っている様子。
また、食糧配布を実施した人々の中には身体が不自由な人たちも多く含まれており、そういった方たちからは、満足に仕事もできず食糧も手に入らない中こういった支援を受けることができて本当にありがたいという声も頂いています。行政の関係者からもシャンティに感謝状が贈呈されるなど、現地の人々からは喜びの声が届いています。
しかし、度重なる紛争や貧困、地震、洪水、干ばつなどの気候変動などの複合的な要因によって、アフガニスタンの人々の生活は以前にも増してより厳しいものとなっています。緊急的な支援活動に加えて、アフガニスタン全土で継続的な支援を行っていく必要があります。シャンティは現地職員、様々なパートナーと共に今後も支援活動を行っていきます。
1,245世帯/約8,715人を対象に緊急の食糧配布を実施している様子。
本事業はジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と皆さまからのご支援を受けて実施しています。
海外緊急人道支援担当 芦田雄太