2010.05.24
海外での活動

伝統文化講座サマーコース修了式

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
活動風景

ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の小野です。

ここの夏休みは3月中旬から5月中旬の2ヶ月。その間の1ヵ月半を利用して開催された伝統文化講座も5月17日に修了。「ぜひ式に来てくれ」というキャンプ委員長のワ・ティさんの招待を受け、ウンピアムキャンプへ行ってきました。(前回のブログからウンピアムキャンプの取材が続きすみません)

 

ポーカレン語の詩にメロディをつけた歌を披露

修了式は、ちょっと工夫されており、ゲストのスピーチと、歌や楽器の成果発表が交互に繰り返されるのです。


お坊さんも伝統文化の重要性を語る

(映画『ビルマ・パゴダの影で』にも登場された方です)


若者はちょっとモダンにギターで歌う
そして、後半は、優秀な子どもたちには修了証、記念品の贈呈がありました。なぜか、この後、私もプレゼンターになりました。

 

記念品を受け取りパチリ


優秀者には記念品(ノート、ペン)と金一封

(20バーツ=約60円)を配布

今回は、800名以上の子どもたちが30名の講師の下、カレン語(ポーカレン、スゴーカレン)、伝統楽器(竪琴、マンドリン、笙、笛など)、伝統舞踊などのコースで学習しました。SVAでも図書館で「伝統文化教室」を実施してきたのですが、昨年からキャンプ側と相談してこのサマーコースに発展的に統合させたのです。

 

大人の歌を聴き、子どもたちは自然に育つ

「今時、伝統文化なんて子どもはあまり乗り気でないのでは?」
「もっと、外国のモダンな文化に触れる機会にしてはどう?」

といった声も聞こえてきます。

一般に難民キャンプには、第三国定住によって、伝統文化を教えられる大人たちが少なくなり、子どもたちも伝統文化より外国文化へ・・・という負のサイクルもあります。

しかし、ウンピアムキャンプは比較的伝統文化に精通した大人たちが残っていて、講師たちはふだんからよく集まって、自分で楽器を弾き、歌を歌っています。これが子どもたちが伝統文化に当たり前のように関心を持ち、学びはじめるもっとも有効な土壌かも知れません。

すべてのキャンプがウンピアムみたいだったらいいのですが、人口の少ないキャンプはやはり盛り上がりに欠けるところがあります。しかし、数は少なくても、細々とでもいいから大人たちには歌ったり、踊ったりし続けてほしいな、と切に思います。

 

伝統楽器と歌を披露する楽器の講師陣

 

全講師と主催者一同で記念撮影

修了式の最後に、委員長のワ・ティさんに聞いてみました。

「カレン族以外の伝統文化教室なんてどうですかね?」

彼曰く「今年はもう終わっちゃったけど来年検討しよう」。

 

ワ・ティ委員長が右から3人目(同2人目は筆者)

このキャンプには10以上の民族がいますが、カレン族中心のキャンプだけに少数派の伝統文化にスポットが当たりません。そのため、SVAではここ2年に渡って「難民こども文化祭」を開催するなどして、交流の種まきもして来ました。

カレンの子どもたちがカチンダンスを踊ったり、ビルマの子どもたちがシャンの歌を歌う・・・とても豊かな多文化教育環境になりそう。

 

カレン語特別クラスの非カレン族の子どもたち。

彼らがカレン語の歌を歌うと拍手喝さい

ということで、来年のサマーコースはもっと面白くなるかも。ワ・ティさんのイニシアチブに期待しつつも、こちらもいっそう働きかけなければ。

そう決意しながら、キャンプを後にしました。

以上