コミュニティ図書館で子どもたちは育っていく
こんにちは。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の菊池です。
タイ国境の7ヵ所の難民キャンプにある21館の図書館には、毎日100人前後の利用者が訪れています。その利用者のうちの約60%が、17歳以下の子どもたちです。
図書館員やコミュニティの人々と話していると、図書館に来る子どもたちの成長を感じます。
コミュニティ図書館の日々の活動を作り上げているのは、難民キャンプに住む人々自身です。図書館員はもちろん、図書館青年ボランティア、学校教員、子どもたちの父母、子どもから高齢者までのコミュニティの住民が図書館に集い、図書館での読書や本の貸し出し、読み聞かせ活動などを通して、あらゆる人々のコミュニケーションの場となっています。子どもたちにとって、図書館という場所は、単に本を読む場所ではなく、図書館に集う人々の姿を見て、彼らとのコミュニケーションを通して、多くのことを学ぶ場になっているようです。
図書館によく来る子どもたちは、絵本を読み、友だちにそのおはなしを聞かせ、そのおはなしについて友だちと話し合い、最後にはきちんと絵本を元の場所に戻します。そのような子どもたちは、次第に図書館員や青年ボランティアの行動を見習うようになり、本の整理や清掃を手伝い、図書館でゲームやおはなし会があると、その場を仕切ってくれるようになります。また、図書館に親と一緒に来て、親がよくおはなしを読んでくれる子どもたちは、家に帰ったら、幼い兄弟たちにおはなしをするそうです。
メラウ難民キャンプの図書館員がこんな話をしてくれました。
「図書館の近くに住む13歳の女の子は自由時間があると毎日図書館に来ます。彼女は本の読み聞かせが好きですし、自分でも本を読みます。昔は自分から何かを手伝うこともありませんでしたが、数年のうちに、彼女は自分から図書館の仕事を積極的に手伝うようになり、今でも毎日、清掃や本の整理をしてくれます。ある日、彼女は私に言いました。「今日は他の地域にお母さんと出かけるから図書館でお手伝いができません。」彼女は毎日図書館に通っていくうちに、図書館の手伝いをするのが日常となっていたのです。」
また、毎週末の図書館青年ボランティアによるおはなし会に参加していたウンピアム難民キャンプのある子が話してくれました。
「青年ボランティアのお兄さん、お姉さんたちは、僕にとって将来の夢なんだ。僕もいつかボランティアになって、たくさんの子どもたちにおはなしを聞かせたいな!」
こういった子どもたちの成長を目の当たりにして、彼らの父母、学校の教員は、益々子どもたちに図書館へ行くことを勧めています。
コミュニティ図書館は、コミュニティのあらゆる人々が、子どもたちを育てる場所になっています。
私自身にできることは、難民キャンプのコミュニティの人々が主体的に図書館活動に参加できる環境づくりを黒子となってサポートすることだと思っています。コミュニティの人々による、コミュニティの人々のための図書館。そういった環境で育つ子どもたちの将来がとても楽しみです。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 菊池