2018.05.16
海外での活動

私はなぜ難民支援活動に関わるのか?

スタッフの声
ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
活動風景

こんにちは。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の菊池です。

タイ国境にある難民キャンプの図書館を続けていくため、6月29日まで、クラウドファンディングReadyforに挑戦しています。是非、ご協力いただけますと幸いです。下記のサイトをご覧ください!
https://readyfor.jp/projects/2018brc

今回のReadyforへの挑戦にあたり、メインページの記事や新着情報用の記事を準備してきましたが、こうして文章を書いている時間は、自分自身と向き合う時間でもありました。

なぜ難民キャンプで図書館事業なのか?図書館は難民キャンプでどんな意味を持っているのか?本を読むことは、子どもたちにどんなインパクトがあるのか?そして、どうして自分は難民支援に携わるのか?

そうした問いに、現場での経験を踏まえながら、自分の言葉で伝えていかないといけないと思い、これまで自分が経験したこと、その時に考えたことを思い出す日々が続きました。

その中で、私自身と、図書館活動と、難民支援が1本の線で繋がったと思った出来事があったので、このブログで書きたいと思います。

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私が2011年にシャンティのミャンマー(ビルマ)難民事業事務所に赴任して、最初に訪問した難民キャンプが、ヌポ難民キャンプでした。当時、シャンティの伝統文化支援事業として、各難民キャンプで「難民子ども文化祭」と呼ばれる、キャンプに住む少数民族の子どもたちを対象とした文化祭を開催していました。ヌポ難民キャンプでこの文化祭の活動をサポートすることが、私の最初の仕事でした。

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難民子ども文化祭の前日。ヌポ難民キャンプの青年ボランティアと共に

その当時のヌポ難民キャンプリーダーが片腕のないサミュエル氏。まだ難民事業に携わってから間もなく、私自身が、なぜ図書館?なぜ伝統文化活動?という答えを私自身の中で、はっきり見いだせていなかった頃です。

そうしていた時に、サミュエル氏が伝えてくださった言葉が、今でも私の心に留まっており、私の図書館を通した難民支援活動への情熱を後押ししてくれるものになったと思っています。

「私たちのアイデンティティを形作るものは、歴史や政治など様々ありますが、文化そして言語は非常に重要な要素です。難民キャンプの中で、様々な支援活動がありますが、シャンティは、本を通して、この文化、言語について支援をしています。私たちの尊厳を守る活動です。とても感謝しています。」
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難民子ども文化祭で開催のスピーチをするサミュエル氏

難民キャンプに来た当初は、正直、図書館は、公教育を支援する一つのツールとしか捉えていなかった自分がいました。また、赴任してすぐは、自分はこういう風に事業に貢献したい、これができるのではないか、と結構頭でっかちに考えていたところがあったのですが、現場で働くにあたっての大切な姿勢は、すべて現場にいる人たちに教えてもらったと思います。

彼の言葉で、はっと気づき、私たちがこの難民キャンプで関わっているのは、単に教育だけではなく、文化的アイデンティティに関わる課題への挑戦なのだと思ったのです。

そして、難民子ども文化祭の夜の部で、各民族の子どもたちがそれぞれに何か月も練習してきたであろう、自身の文化の伝統舞踊を、自信をもって披露している姿を見て、ひとり涙が止まりませんでした。満天の星空、澄んだ空気、子どもたちが一生懸命に自分の文化を表現している姿に、本当に心を打たれたのでした。

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パワフルに伝統舞踊を披露するカチン族の子どもたち

私自身、国籍が異なる両親を持ち、中・高校生くらいの時に自分の持つ文化や、私自身のアイデンティティについて悩み、考えた時期がありました。今でも、私の中では、アイデンティティの課題は大きなテーマです。

この難民キャンプに来て、自身の文化的アイデンティティを守り、様々な制限がある中でもそれを表現しようとしている人々と出会って、自分自身と、団体の活動と、難民キャンプの人々が一本の線でつながれたように感じ、このアイデンティティを維持する活動が、自分がやりたいと思っていたことだ、と強く思ったのでした。
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クラウドファンディングReadyforの新着記事で、難民キャンプの様子や、図書館活動を様々な形で紹介しています。是非ご覧ください!

ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 菊池礼乃